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「レーベル先天黒内障」とは何か?...画期的な「遺伝子治療薬」で視力改善へ【最新研究】

From Shadows to Sight

2025年5月2日(金)13時05分
イアン・ランドル(科学担当)

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LCAの画期的治療法はバイテク企業メイラGTxなどが共同で開発した NANDO MACHADO PHOTOGRAPHY

ただし、RPE65遺伝子の変異はLCAの約8%にしか見られない。さらに重症度が比較的軽度なだけでなく、進行も速くないため、診断を受けてから30~40歳まで治療が可能な場合もある。

一方、AIPL1遺伝子の変異に関連するLCAは特に症例が少なく、治療法が確立していない。AIPL1遺伝子は網膜の光受容体細胞の発達と機能に不可欠で、LCAの中でも影響は深刻だとマイケルディズは言う。


「暗い所では動くことができず、周辺視野はなく、中心視野もないに等しい」と、マイケルディズは説明する。

「電気がついているかどうかは分かる。まぶしい光を当てれば、そちらに顔を向けたりする。また顔のすぐそばに大きな物や動いている物があれば、認識できる子もいる」

新生児にAIPL1遺伝子の変異が疑われる兆候はいくつかある。例えば黒目が振り子のように揺れ続ける。視点がどこにも固定できず、親とも目が合わない。昼夜のサイクルに適応できずに体内時計が狂って睡眠パターンが乱れ、不眠が続くケースもある。

RPE65遺伝子の変異に関連するLCAと異なり、AIPL1遺伝子の変異が引き起こすLCAは、治療できる期間が非常に短い。満4歳を過ぎると、それまで機能していたわずかな網膜組織も変性する。いずれ完全な失明に至り、視力は二度と戻らない。

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