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「レーベル先天黒内障」とは何か?...画期的な「遺伝子治療薬」で視力改善へ【最新研究】

From Shadows to Sight

2025年5月2日(金)13時05分
イアン・ランドル(科学担当)

マイケルディズの研究チームはランセット誌で、新しい遺伝子治療の臨床試験について報告した。

チームは19〜20年にかけて4人の小児患者を選び、治療を施した。いずれも手術を行ったのは片目のみで、もう一方の目は比較のための対照群として治療せずにおいた。


手術ではデリケートな網膜に処置を行うために、まず眼球を満たすゼリー状の硝子体を一時的に除去した。その後ウイルスベクターが含まれる溶液を網膜の下に慎重に注入し、正常な遺伝子を光受容体細胞に組み込んだ。処置は1時間ほどで完了し、視力改善の兆しが数週間以内に報告されたという。

3〜4年後に追跡調査をしたところ、治療しなかった目の視力が著しく低下したのに対し、治療をした目のほうは大幅に改善した。「ほとんど光も認識できない状態だったのが、視力検査表を使って視力が測れるまでになった」と、マイケルディズは言う。

子供たちは最終的に検査表の最上段が読めるようになったと、彼は説明する。言い換えるなら、視力が0.1まで上がったことになる。

子供の遊び方が変わった

最初の試験を完了したチームはさらに7人の小児患者に手術を行い、今度は両目に正常な遺伝子を投与した。

すると計11人の被験者全員が、視力の改善を見た。1人は0.25まで視力が上がった。

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