民間人4人を乗せた「ポラリス・ドーン」ミッション、スペースXが挑む初の商業船外活動
SpaceX Launches World's First Private Spacewalk Mission
民間初の船外活動を目指すSpaceX Sven Piper-Unsplash
<スペースXは民間人4人を乗せたロケットを打ち上げ、商業船外活動の歴史的挑戦に挑む>
9月10日早朝、スペースXが民間人4人を乗せたロケットを打ち上げた。民間企業初の船外活動を予定している。
「ポラリス・ドーン」ミッションのスペースX製ロケット「ファルコン9」は米東部時間の午前5時23分、フロリダ州にある米航空宇宙局(NASA)のケネディ宇宙センター39A発射台から打ち上げられた。「レジリエンス」と命名されたスペースXの宇宙船クルードラゴンには民間人4人が搭乗している。
乗員を率いるビリオネア
乗員を率いるのはシフト4・ペイメンツのCEOでビリオネアのジャレッド・アイザックマン(自身の有人飛行プロジェクト「ポラリス・プログラム」の一環としてスペースXから3回のミッションを購入)。今回のミッションではアポロ計画以来、地球から最も遠くへ人類を到達させ、民間人による初の船外活動実施を目指す。
残る3人はアメリカ空軍を引退した元パイロットのスコット・ポティート、スペースXの宇宙航行エンジニアを務めるサラ・ギリスとアナ・メノンが搭乗する。
「今回のドラゴンミッションは、ファルコン9とドラゴンの性能を最大限に活用し、これまでのどのドラゴンミッションよりも高く飛び、これまでに飛行した中で最も高い地球軌道への到達を目指す」。ポラリス・ドーンの公式サイトはそう記している。
「地球のおよそ700キロ上空で、乗員は史上初の商業船外活動(EVA)に挑む。スペースXがデザインした船外活動(EVA)宇宙服は、現在の船内(IVA)宇宙服からアップグレードした」
ロケットは地球周回軌道に突入し、地球の周回速度の時速1万7000マイルに到達。数日かけて地球を周回しながら徐々に地球から遠ざかる。
最初の数周は、遠地点(地球からの距離が最も遠くなる点)が約745マイルの楕円軌道に乗り、その後徐々に遠地点を広げて870マイルに達する。この時点で、1966年のジェミニ11計画で記録した853マイルを抜き、人類を月へ送り込んだアポロ計画の終了以来、有人飛行としては地球から最も遠く離れる。宇宙を旅した女性が地球から最も遠く離れた記録も更新される。