最新記事

SNS

フェイスブックやインスタ、偽ブランド品販売の穴場に

2022年2月14日(月)10時55分
インスタグララムのアプリ

米メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)はこのところ電子商取引に力を入れているが、同社のアプリを利用してグッチやシャネルなど高級ブランドの偽造品を売る行為が後を絶たず、「もぐらたたき」に追われている。写真はインスタグララムのアプリ。2021年7月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)

米メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)はこのところ電子商取引に力を入れているが、同社のアプリを利用してグッチやシャネルなど高級ブランドの偽造品を売る行為が後を絶たず、「もぐらたたき」に追われている。

学者や業界団体、偽造品調査専門家らへの取材により、メタ傘下のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「フェイスブック」、写真投稿アプリ「インスタグラム」、メッセージアプリ「ワッツアップ」が、偽造品業者にとって販売の穴場になっている実態が浮かび上がった。

民間調査会社・クロールのマネジングディレクター、ベネディクト・ハミルトン氏は「フェイスブックとインスタグラムは、偽造品を一般人に売る主な市場だ。10年前には(電子商取引企業)イーベイ、5年前にはアマゾンがそうした場だった」と言う。

ソーシャルメディア分析会社のゴースト・データが中心となってまとめ、ロイターが独占入手した調査結果によると、売られている偽造高級ブランド品はグッチ、ルイヴィトン、フェンディ、プラダ、シャネルなど幅広い。

2021年6─10月の調査では、フェイスブック上で活動している偽造品業者のアカウントは2万6000件余り、インスタグラムで2万件を超えていた。インスタグラムの件数は前年より増えたが、2019年に記録した約5万6000件からは減っている。

21年に特定されたアカウントの約65%は中国に拠点を置いており、続いてロシアが14%、トルコが7.5%の順だった。

メタは最近、広告のための個人行動履歴の追跡を制限されたほか、ユーザーの伸び減速にも直面。このため収益拡大に向けて電子商取引サービスに最も力を入れており、偽造品販売には厳しく立ち向かう姿勢を示す。

インスタグラムによると、ディオールやバレンシアガ、ベルサーチなどがインスタのショッピング機能を採用しているほか、オスカーデラレンタやバルマンはアプリ内精算機能も使っている。

そうしたメタを悩ませ続けるのが、アプリを利用して偽造品を売ろうとするユーザーの存在だ。広報担当者は「新たなテクノロジーには偽造品販売と不正行為の問題がつきまとう」と述べ、日々対応を改善していると付け加えた。

犯罪者の隠れ家

定価5000ドル以上のハンドバッグを100ドルで買う消費者のほとんどは、自分が偽造品を買っているのを分かっている。だが、被害はブランドの売り上げやイメージにも及ぶほか、製品の安全性、組織犯罪との関わりも懸念されると専門家は言う。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国GDP、第2四半期は5.2%増に鈍化 底堅さも

ワールド

トランプ氏の「芝居じみた最後通告」 ロシアは気にせ

ビジネス

焦点:来たる米Tビル大量発行、今後1年半で1兆ドル

ワールド

アングル:米政権の財政運営「視界不良」、情報不足に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 10
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中