最新記事

SNS

フェイスブックやインスタ、偽ブランド品販売の穴場に

2022年2月14日(月)10時55分

メタがイーベイやアマゾン・ドット・コムなどの電子商取引サイトと異なるのは、閉鎖空間における投稿、ダイレクトメッセージの送信、インスタグラムの「ストーリーズ」など時間がたつと消えるコンテンツの利用など、SNS特有とも言える複数のルートを犯罪者に提供してしまう点だ。

国際偽造撲滅連盟のバイスプレジデント、ラーラ・ミラー氏は「偽造品業者にとって、格好の隠れ家が大量に生まれてくる。われわれは追い付くのに必死だ」と言う。

ゴースト・データの報告書によると、偽造品業者はワッツアップの「ビジネスプロファイル」オプションで利用できる「カタログ」機能などを使って製品を展示している。

ゴースト・データの創業者、アンドレア・ストロッパ氏は、外部サイトにリンクを貼るのではなく、メタのアプリ内で偽造品の販売手続きをすべて済ませる傾向が強まっていると言う。

一部の高級ブランドは、電子商取引サイトにせよソーシャルアプリにせよ、主要なオンラインプラットフォームが偽造品販売をうまく防げない可能性を疑っている。

欧州連合(EU)欧州委員会は偽造品販売の撲滅に向け、ブランド側と、メタを含む電子商取引サイト側との協力を強化する取り組みを行っているが、シャネルやラコスタは2020年、効果がないとして脱退した。

シャネルのフィリップ・ブロンディオー最高財務責任者(CFO)は昨年のインタビューで、フェイスブックやインスタグラムが「高級品を売るのに適した環境だとは思わない」と述べている。シャネルは化粧品と香水しかオンラインで販売していない。

経済協力開発機構(OECD)は、2020年から21年にかけての電子商取引ブームが偽造品のオンライン販売急増につながったと指摘。学者らは、コロナ禍中に不正行為が急拡大したが、欧米の法制度は対応できていないとしている。

シャネル、グッチ、プラダの3社は、昨年中に偽造品業者によるソーシャルメディアの投稿を数十万件発見し、削除させたことを明らかにした。LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は当局への開示書類で、2020年に偽造品対策に3300万ドルを費やしたことを明らかにしている。同社はコメントを控えた。

メタの対応

メタの法律責任者はロイターに対し、電子商取引サービスの強化に際しては偽造品の取り締まりが鍵を握ると述べた。

同社は昨年10月、ブランドが投稿や広告、商取引機能内の偽造品を検索、報告するツールの最新版を導入した。また、違反行為を巡って苦情があれば通常、24時間以内に対応するとしている。

(Elizabeth Culliford記者 Silvia Aloisi記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・クジラは森林並みに大量の炭素を「除去」していた──米調査
・気候変動による世界初の飢饉が発生か 4年間降雨なく、昆虫で飢えをしのぎ...マダガスカル
・地球はこの20年で、薄暗い星になってきていた──太陽光の反射が低下


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国輸出、5月は前年比-1.3% 米中向けが大幅に

ワールド

米の鉄鋼関税引き上げ、EUが批判 「報復の用意」

ワールド

ガザ停戦案、ハマスは修正要求 米特使「受け入れられ

ワールド

米国防長官、「中国の脅威」警告 アジア同盟国に国防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
  • 5
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 6
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 9
    メーガン妃は「お辞儀」したのか?...シャーロット王…
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 4
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 6
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 10
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中