最新記事

サイエンス

日本原産の野菜「アシタバ」に驚きのアンチエイジング効果

Secret of Longevity?

2019年3月11日(月)16時45分
カシュミラ・ガンダー

日本では古来から胃潰瘍やアレルギーに効果があるとされてきた EYE-BLINK/ISTOCKPHOTO

<細胞を保護して寿命を延ばすアンチエイジング効果が、オーストリアの大学の研究で認められた>

不老長寿の妙薬は、意外と身近にあるのかもしれない。

アシタバ(学名アンジェリカ・ケイスケイ)は日本の関東地方から紀伊半島にかけて育つ多年草。生命力が強く、葉をつんでも翌日には新しい葉が出るところから、その名が付いた。野菜やお茶として食用されるほか、胸焼け、胃潰瘍、高血圧、コレステロール、花粉症、痛風や便秘に効く薬草として古くから重宝されてきた。

そのアシタバに含まれるフラボノイド(色素成分)の一種「4, 4'-ジメトキシカルコン(DMC)」に驚きのアンチエイジング効果があることを、グラーツ大学(オーストリア)のフランク・マデオ教授らの研究チームが突き止めた。

オンライン科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された論文は、老化が心臓病や癌といった疾患の危険因子だと指摘。高齢者はそうした疾患を複数持つことが多いが、その共通因子である老化を遅らせれば、効率よく健康寿命を延ばすことができる。

現在、老化防止に効果的とされるのは栄養バランスに留意した上でのカロリー制限と、メトホルミンやラパマイシンのような医薬品の摂取だと、論文には書かれている。だが普通の人にとって、カロリー制限は何かとハードルが高い。

マデオらの研究チームが線虫とショウジョウバエにアシタバのDMCを与えたところ、寿命が約20%延びたという。心臓への血流が低下したマウスに投与すると、心筋細胞が保護されることも分かった。ヒトの細胞を使った実験でも、細胞の老化を遅らせると思われる効果が認められた。

細胞が自身の不要なタンパク質を分解し、細胞内をきれいにするオートファジー(自食作用)という現象がある。DMCにはこれを誘発する作用があり、アンチエイジング効果につながると研究チームはみている。

アシタバの旬は2~5月頃。今回の研究は初期段階にすぎず、さらなる臨床試験が待たれるとはいえ、明日からの食事にさっそく取り入れても損はない。

<2019年3月12日号掲載>

※3月12日号(3月5日発売)は「韓国ファクトチェック」特集。文政権は反日で支持率を上げている/韓国は日本経済に依存している/韓国軍は弱い/リベラル政権が終われば反日も終わる/韓国人は日本が嫌い......。日韓関係悪化に伴い議論が噴出しているが、日本人の韓国認識は実は間違いだらけ。事態の打開には、データに基づいた「ファクトチェック」がまずは必要だ――。木村 幹・神戸大学大学院国際協力研究科教授が寄稿。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
アメリカや中東、アジア、ヨーロッパなど世界の動きから世界経済、キャリア、テック&サイエンス、for Womanの最新トピックまで、ウィークデーの毎朝お届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

MAGAZINE

特集:香港の出口

2019-8・27号(8/20発売)

拡大する香港デモは第2の天安門事件に? 中国「軍事介入」の可能性とリスク

人気ランキング

  • 1

    日韓対立の影響は?韓国経済に打撃大きく、日本経済にもマイナス 日韓関係の回復を強く望む

  • 2

    韓国人はなぜデモがそんなに好きなのか

  • 3

    乳がん細胞を脂肪細胞に変えることに成功:バーゼル大学の研究

  • 4

    寄生虫に乗っ取られた「ゾンビ・カタツムリ」がSNSで…

  • 5

    日本の重要性を見失った韓国

  • 6

    韓国で日本ボイコットに反旗? 日本文化めぐり分断…

  • 7

    日本人が知らない監視社会のプラス面──『幸福な監視…

  • 8

    韓国航空業界に再編の荒波 アシアナは投資ファンド…

  • 9

    トランプはなぜ極寒のグリーンランドが欲しいのか

  • 10

    世界が発想に驚いた日本の「ロボット尻尾」、使い道…

  • 1

    寄生虫に乗っ取られた「ゾンビ・カタツムリ」がSNSで話題に

  • 2

    ハワイで旅行者がヒトの脳に寄生する寄生虫にあいついで感染

  • 3

    世界が発想に驚いた日本の「ロボット尻尾」、使い道は?

  • 4

    日本の重要性を見失った韓国

  • 5

    異例の猛暑でドイツの過激な「ヌーディズム」が全開

  • 6

    若年層の頭蓋骨にツノ状の隆起ができていた......そ…

  • 7

    犯人の容姿への嘲笑に警告 9万件のコメントを集めた…

  • 8

    世界が知る「香港」は終わった

  • 9

    未成年性的虐待の被告の大富豪が拘置所で怪死、米メ…

  • 10

    金正恩が韓国・文在寅政権を猛非難「朝鮮半島情勢緊…

  • 1

    寄生虫に乗っ取られた「ゾンビ・カタツムリ」がSNSで話題に

  • 2

    日本の重要性を見失った韓国

  • 3

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 4

    異例の猛暑でドイツの過激な「ヌーディズム」が全開

  • 5

    韓国で日本ボイコットに反旗? 日本文化めぐり分断…

  • 6

    ハワイで旅行者がヒトの脳に寄生する寄生虫にあいつ…

  • 7

    「韓国の反論は誤解だらけ」

  • 8

    デーブ・スペクター「吉本」「日本の芸能事務所」「…

  • 9

    「韓国に致命的な結果もたらす」日韓の安保対立でア…

  • 10

    アメリカの衛星が捉えた金正恩「深刻な事態」の証拠…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月