最新記事

健康

頭痛やめまい、「これ病院に行くべき?」はネットじゃ分からない

2018年9月5日(水)17時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Metamorworks-iStock.

<何らかの体調不良や症状が出たとき、多くの人はまずネットで調べるだろうが、それで症状の原因を突き止めるのは難しい。救急車を呼ぶべきか、病院に行く必要はないのか。複数のチェック項目に答えることでその判断ができるという本が出版された>

総務省によると、2017年の救急車の出動件数は634万2096件、搬送人数は573万5915人で、いずれも過去最多を記録した(速報値)。高齢者の急病やケガが増えていることが大きな要因だが、なかには不要不急の要請も多く、救急車の適正利用が呼びかけられている。

そうは言っても、突然これまで感じたことのない頭痛がしたり、めまいや立ちくらみに襲われたりしたら、誰しも「もしかすると深刻な病気かも?」といった不安に駆られるもの。だが、病院で長時間待った挙げ句、何でもなかった......といった経験をしたことのある人もいるだろう。

『その症状、すぐ病院に行くべき? 行く必要なし?――総合診療医・山中先生がつくった家庭でできる診断マニュアル』(山中克郎・著、CCCメディアハウス)は、そんな徒労をなくし、同時に、深刻な病気になるかもしれない徴候を自宅で確認できるようにしてくれる一冊だ。

質問によって症状を絞り込む

最近では、何らかの体調不良や症状が出たときに、多くの人がまずすることと言えば、インターネットで調べることだ。あらゆるサイトに「こういう症状は、こんな病気の可能性が」といった情報が溢れているため、それを見て心配になり、救急車を呼んだり病院に駆け込んだりすることになる。

だが、ネットの情報だけで症状の原因を突き止めることは難しい、と著者の山中医師は言う。山中医師は現在、長野県の諏訪中央病院総合内科に勤務しているが、テレビなどでも広く活躍している「総合診療医」だ。

総合診療医とは、「Subspecialty(専門分野)を持った上でどのような疾患にも対応し、未診断症例には速やかに正確な診断を行い、速やかな治療を行うことができ、場合によっては患者のことを考えた専門医との連携を円滑に行うことが出来る医師」(日本病院総合診療医学会より)。

つまり、どんな病気でも診断してくれ、適切な指示をしてくれる、患者にとっては非常にありがたい存在だ。「未病」と呼ばれる、病気になる前の体の不調にも対応できる医師として、総合病院や地域の病院などに求められるようになっている。

例えば、頭痛について検索してみると、「突然起こった激しい頭痛は危険」と書かれているサイトは多くあるが、山中医師によれば、頭痛で病院に来る人のほとんどが「突然痛くなった」と言うらしい。では、急に頭が痛くなった場合はすべて本当に危険なのかと言えば、そんなことはない。

そこで医師は、「何をしていたときに痛みが生じたのか」「5分以内に痛みが最大になったか」「熱はあるか」といった質問をしていくことで原因を絞り込む。それによって症状の緊急性も分かり、適切な診断が下せるのだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 8
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 9
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中