最新記事

長期投資

これぞ王道、成長株を見極める5つのポイント

2018年6月28日(木)11時45分
株の窓口

2.株価チャートが持続的な上昇トレンドである

成長株の株価チャートには、特徴的なパターンがあります。具体的には3つのステージに分かれ、第1ステージは「黎明期」、第2ステージは「急成長期」、第3ステージは「成熟期」です。

成長株を見分けるには、第2ステージが重要です。成長株の株価は、新高値(その時点での過去最高値)を更新した後、急速な伸びを見せます。この伸びの勢いが持続的な上昇トレンドであるかどうかが、その銘柄が成長株かどうかの判断材料となります。

エムスリー<2413>の株価チャートを見てみましょう。まず第1ステージは、企業にとっても黎明期です。売上や利益などの業績や会社見通しが不安定で、株価も同様に上下を繰り返します。エムスリーも、投資家の高い期待に業績の成長スピードが追いつかず、株価は低迷していました。

kabumado170208-2b.png

第2ステージは急成長期です。利益が急拡大し、株価も新高値を超えて大きく上昇します。エムスリーも2013年あたりで第2ステージに移行しています。その時期の同社の業績を確認してみましょう。

kabumado170208-3b.png

(会社資料および『会社四季報』より作成)

これは、エムスリーの2012年から2013年にかけての四半期決算ごとの対前期増減率です。ご覧のとおり、2013年から売上高が大幅に増加していることが見て取れます。売上高が大幅に伸びたためにEPS(1株あたり純利益=当期純利益÷発行済株式数)も急増し、株価が大きく上昇します。

ここでチェックしたいのが、外国人持株比率です。外国人投資家(機関投資家)は四半期ごとのEPSの成長を重要視します。エムスリーの外国人持株比率は、2012年には21.1%に過ぎなかったのが、2013年に入ると30.4%、さらに36.4%にまで上昇します。EPSの大幅な伸びに伴い、機関投資家が同銘柄を買い集めるようになり、出来高が増加、さらにマーケット参加者が買い進めた結果、株価上昇が加速する――という構図が読み取れます。

そして、企業の成長に陰りが見え始めると、第3ステージの成熟期へと移行します。成長率が鈍化して株価も下落、低成長株へと変わっていきます。そのため、現在どのステージにいるのかを見分けることが大切です。第2ステージでうまく投資することができれば、大きな儲けに繋がります。

3.PERが高い

PER(株価収益率)は、現在の株価が割安か割高か、それとも妥当なのかを判断する際によく使われる指標で、株価が利益に対して何倍かを表しています。PERが高いということは、業績以上の評価をされている=割高ということになります。


PER=株価÷EPS(1株あたり純利益) もしくは PER=時価総額÷純利益

しかし、成長株投資においては、高PERであることはさほど問題になりません。PERが高い企業は、それだけ投資家が将来の成長性を期待している、ということでもあります。したがって、成長株は当然PERが高くなるのです。エムスリー<2431>も高PER銘柄として有名で、2016年11月末時点でも60倍以上で推移しています。

なお、業種によって差はありますが、東証1部上場銘柄の平均PERは17倍前後。そして、高PERであることがポイントとなる成長株投資に対して、低PER(=業績に株価が追いついていない)に注目して投資する方法が「割安株(バリュー株)投資」です。

(参考記事)鵜呑み厳禁! 地味だけど堅実と言われる「割安株投資」の真実

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル34年ぶり155円台、介入警戒感極まる 日銀の

ビジネス

エアバスに偏らず機材調達、ボーイングとの関係変わら

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 9

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 10

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中