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衝撃が走った「さつまいも危機」...農業と食文化を支える霧島酒造「イモテラス」の苗づくり改革

2025年11月6日(木)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

「腐り」を防ぐ「苗」が焼酎を救う

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霧島さつまいも種苗生産センター「イモテラス」全景。奥が育苗ハウス、手前右側が管理研究棟

イモテラスでは、基腐病の拡大防止に向けた健全な苗の生産に取り組んでおり、なかでも注目されるのが「茎頂培養苗」と呼ばれる技術だ。

病気の影響を受けにくい芽の先端(茎頂)から苗を育てることで、より強く健康なさつまいもを育成できる。

芋焼酎の原料として代表的な品種「黄金千貫」「紫優」「みちしずく」などの苗をこの技術で育て、地域農家へと供給する。施設全体では最大470万本の苗(切り苗換算)の生産能力を持つという。

施設名「イモテラス」には、日本書紀などにおいて太陽神として知られる天照大神(あまてらすおおみかみ)になぞらえ、さつまいもの未来を照らす存在でありたいという想いが込められている。

同施設のロゴには、輝くさつまいもと力強い苗が描かれ、未来への希望が象徴されている。

イモテラスでは、さつまいもの収穫期後には工場でさつまいもの選別工程に従事する人々が苗の増殖作業を担う。これにより、地域雇用の創出にもつながっているわけだ。

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イモテラスで育成したポット苗

また、イモテラスには研究棟が併設されており、栽培に関わる状況の把握や作業の省力化、新品種の研究など、生産農家に役立つ活動を継続的に進めている。

2023年に発売した芋焼酎「KIRISHIMA No.8」は、華やかな香りを生み出す全く新しい品種「霧N8-1」を自社単独で育成した成果として生まれた商品だ。

同施設は、こうした新商品の創出につながる研究開発拠点としての期待も大きい。

2024年度には、原料の集荷量が計画を上回るなど、取り組みは着実な成果を上げ始めているという。健全な苗への入れ替えはまだ道半ばだが、イモテラスの稼働によって、持続可能な焼酎造りの基盤は確実に築かれつつあるのだ。

霧島酒造はこれからも、地域農家と共に歩みながら、基腐病という逆境に立ち向かい、品質と供給の安定化を図っていく。さつまいも、そして、焼酎文化の根幹を苗から支えるこの挑戦は、地域農業の未来を照らす大きな一歩となるはずだ。

◇ ◇ ◇


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