衝撃が走った「さつまいも危機」...農業と食文化を支える霧島酒造「イモテラス」の苗づくり改革
霧島さつまいも種苗生産センター「イモテラス」の育苗ハウス内で苗をカットしている様子
<「芋焼酎の原料が消えるかもしれない」──九州を中心に広がった「基腐病」の発生を受け、焼酎の未来を苗づくりから支え、持続可能な農業を築く挑戦が始まった>
日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。
私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
2018年、「サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)」が国内で初めて確認され、九州各地のさつまいも農家に深刻な影響を与えた。
この病気は苗や土壌を通じて感染し、さつまいもを腐敗させてしまう。収穫量が著しく落ち込む原因となり、業界に衝撃が走った。
芋焼酎の原料として九州産さつまいもを使い続けてきた霧島酒造株式会社も、例外ではなかった。霧島酒造は年間約10万トンのさつまいもを使用しており、その栽培面積は東京ドーム600個分を超える。
すべて九州産に限定し、地元農家との協業で原料を確保してきた同社にとって、基腐病の拡大は見過ごすことのできない事態だ。
登録農家は一時、かつての2000軒超から1200軒まで減少。原料不足は深刻化し、2023年3月からは主力商品「黒霧島」「白霧島」の販売を一時休止せざるを得なかった。
この状況を打開するため、霧島酒造は2022年に特設チームを立ち上げ、病害対策や農家支援など、本格的な取り組みをスタートさせた。
これは自社のサプライチェーンを強靭にするだけでなく、産業の基盤を守り、地域経済を持続可能にするための挑戦とも言える。
地域と歩む焼酎造りの原点
霧島酒造は宮崎県都城市に本社を構える、1916年創業の本格焼酎メーカーだ。「地域に根ざし、地域と共に発展する企業」を経営方針に掲げ、地域密着型の焼酎造りを行ってきた。
製造する焼酎の原料には、九州産のさつまいもと国産米を100%使用しており、そのうち国産米の約半分は宮崎県産だ。
焼酎造りの土台となる仕込み水には、地元・都城盆地の地下水「霧島裂罅水(れっかすい)」を100%使用するなど、素材へのこだわりを貫いてきた。
焼酎造りは、生産農家の支えがあってこそ成り立つ。さつまいもに関しては、基腐病の危機に対してより能動的なサポートを実現するため、2023年9月に「霧島さつまいも種苗生産センター『イモテラス』」を建設、稼働させた。
狙いは、病気に強く、健全なさつまいもの苗を育て、安定的に供給することにある。
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