最新記事
SDGsパートナー

コメ不足を解決したい──「令和のコメ騒動」の裏側で起きていた、タイミー×精米工場の「意外な挑戦」とは?

2025年10月7日(火)10時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

精米工場に入荷した玄米

精米工場に入荷した玄米。タイミーを利用すれば、突発的な玄米の受け入れにも対応できる スポットワーク研究所提供

実際にこの制度を通じてタイミーを導入した工場では、人手不足の解消に加え、もともと現場で働いていた人々の労働負荷軽減や職場環境の改善につながっている。

熊本県を拠点とする株式会社ローカルが運営する近見精米工場では、「夕方からタイミーを通じてスポットワーカーに来てもらうことで、日勤の社員が定時で帰宅できるようになり、精神的な余裕が生まれた」という。

また、社員がパート従業員とスポットワーカーを区別することなく、自然なコミュニケーションを取っていることが、スポットワーカーの高いリピート率にもつながっている。これらの事例は、単なる労働力の補填にとどまらず、温かな職場文化と新たな人間関係の構築に寄与していることを示している。

目先の利益よりも、社会を優先

コメのパッケージにシールを貼るスタッフ

今後はリピートして精米工場で働くスポットワーカーに、シール貼りなどの作業も任せていく スポットワーク研究所提供

この取り組みの最大の特徴は、短期的な収益よりも社会課題の解決を優先している点にある。千葉氏は「事業としての利益を追求するだけでなく、社会インフラを支える存在として貢献したいという強い意志があります」と話す。

タイミーが提供する支援策は、単なる一過性の人手不足対策ではない。その根底には、「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」という同社のミッションがある。

「事業者とワーカーが手を取り合って、より良い社会を築いていく。そんな未来の実現に貢献したいと考え、この取り組みを始めました」(千葉氏)

「食」のインフラの一部ともいえる精米工場の仕事を担うワーカーは、まさに社会を支えていると言えるだろう。

創業以来、労働市場におけるギャップを埋める柔軟な仕組みを提供してきたタイミー。突発的かつ予測不能な労働需要にも即時対応できるプラットフォームは、新しい「働き方のインフラ」にもなりつつある。

ワーカーにとっての就労体験が単なる収入手段にとどまらず、社会貢献性の高い活動として認識されることは、働くことの意義やモチベーションの向上にもつながっていく。

今後は、精米工場支援で培ったノウハウを活かし、コメの生産・流通に関わる他の事業者や、同様の季節性のある突発的な人手不足に悩む他業種への支援を試みるという。一次産業や社会インフラ領域への横展開も積極的に行い、日本の労働市場全体の持続可能性を高めていくのが大きな目標だ。

今回の支援策で得た知見や成功事例を広く発信し、スポットワークが農業・一次産業の持続可能性を高めるモデルケースになると示すことで、目標は着実に近づいてくる。

タイミーの取り組みは、「働くこと」が社会を変える力となり得ることを示す、SDGs時代にふさわしい新しい社会協働モデルだ。

◇ ◇ ◇

共通アンケート

どの企業も試行錯誤しながら、SDGsの取り組みをより良いものに発展させようとしています。今回の記事で取り上げた事例について、感想などありましたら下記よりお寄せください。
アンケートはこちら

ニューズウィーク日本版 中国EVと未来戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月14日号(10月7日発売)は「中国EVと未来戦争」特集。バッテリーやセンサーなどEV技術で今や世界をリードする中国が戦争でもアメリカに勝つ日

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

8月景気動向一致指数、前月比0.7ポイント低下=内

ワールド

エクソン、第3四半期上流部門利益は最大3億ドル上振

ワールド

再生可能エネ予測を下方修正、米政策転換と中国入札改

ワールド

米CDC所長代行、3種混合ワクチンの分離接種要請 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 2
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレクションを受け取った男性、大困惑も「驚きの価値」が?
  • 3
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿すると「腎臓の検査を」のコメントが、一体なぜ?
  • 4
    一番お金のかかる「趣味」とは? この習慣を持ったら…
  • 5
    筋肉が育つだけでは動けない...「爆発力」を支える「…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃の「オーラの違い」が話題…
  • 7
    「不気味すぎる」「昨日までなかった...」ホテルの天…
  • 8
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 9
    監視カメラが捉えた隣人の「あり得ない行動」...子供…
  • 10
    イエスとはいったい何者だったのか?...人類史を二分…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 7
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 8
    更年期を快適に──筋トレで得られる心と体の4大効果
  • 9
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 10
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中