最新記事
日本企業

レトロな量り売りの復活...日本初の「ごみゼロ」スーパー「斗々屋」の徹底した脱包装戦略とは?

De-Packaging for Zero Waste

2025年4月15日(火)16時49分
岩井光子(ライター)

容器の重さを瞬時に登録

例えば、客が持参したまちまちの容器は一度店内のはかりで計測すれば、専用のタグシールが発行され、重量が店側に登録される仕組みだ。シールを貼っておけば容器の重さは自動で差し引かれる。

食材を入れた陳列容器にはモーションセンサーを付けた。容器から商品を取るとセンサーが情報を転送するので、客が選んだ商品をはかりに載せれば瞬時に品目と重量が判定される。コンビニなどのセルフレジに近い速さで会計が完結する量り売りが実現した。


さらに、品数豊富な京都店の食材をうまく循環させているのが厨房だ。イートインコーナーは、夜になると梅田が即興で献立を練る「メニューのない」レストランに変わる。豊作で多めに入荷した野菜なども余らせずに消費する工夫だ。

例えば、惣菜には傷みやすいキュウリを入れず、余ったらグラタンにアレンジできるようにするなど、ゼロ・ウェイストを意識しているという。「生鮮食品部門と惣菜部門が連携できれば、食品ロスも経済的なロスも減ります」とノイハウスは言う。

培ってきた量り売り店経営のコツは、店の規模や地域によって異なる。斗々屋は各地で量り売り店の開業を目指す人たちを支援しようと、オンライン講座を始めた。

斗々屋を増やすことがゴールではなく、「サーキュラー・エコノミー(循環型経済)的な買い物習慣を広げたい」とノイハウス。目指すのは、個々の熱意が動力になる脱包装ムーブメントの拡大だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米10月求人件数、1.2万件増 経済の不透明感から

ワールド

スイス政府、米関税引き下げを誤公表 政府ウェブサイ

ビジネス

EXCLUSIVE-ECB、銀行資本要件の簡素化提

ワールド

米雇用統計とCPI、予定通り1月9日・13日発表へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中