最新記事
日本企業

パンや土、ワイン、コンクリートからも...地球上のあらゆるものが電力源に? 発電の先を行く「超小集電」の可能性

Electricity from Bread?

2025年3月28日(金)16時00分
酒井理恵(ライター)
トライポッド・デザイン代表取締役の中川聰

当然のように利用している電力への意識を変えるきっかけにしたいと中川は言う COURTESY OF TRIPOD DESIGN (2), RIE SAKAI (CENTER)

<「いざというときの生命維持装置」にも──水や土や食べ物などから電力を得る「超小集電」で、電力を自給自足するオフグリッドな暮らしを目指す>

土の入った容器に一対の電極を挿すと、LEDに小さな光がともった。土の種類を変えると光の点滅するリズムが変わり、まるで声を発しているようである。「土は生きている」という言葉を思い出す。

これは、東京都千代田区のトライポッド・デザインが開発した「超小集電」の技術。自然界に存在するものを媒体に、微小な電気を収集する。電力を生成する過程で二酸化炭素を一切排出しない上、天候・時間帯にも左右されない。まさに究極のクリーンエネルギーだ。


超小集電は、イオン化傾向が異なる2種類の金属を使って電気エネルギーを得るボルタ電池やダニエル電池の理論に沿って発想された。イオンになりやすいほうの金属がマイナス極で電子を発生させ、プラス極へ移動する際に電気が生成される仕組みだ。

同社代表取締役の中川聰によると、地球上に存在するあらゆる物質を用いて電気を取り出せる可能性がある。これまでに河川や土壌、パン、ワイン、コンクリートなど、3000種以上の物質が電解質として集電可能であることを実証した。

同社は独自の集電装置を開発し、効率的に集電することで、日常生活への活用を目指す。現在、スマートフォンへの充電が可能なレベルまで技術は向上している。

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 10
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中