最新記事
SDGsパートナー

営業車両100%EV化へ、人と地球の「健康」を守る――アストラゼネカの脱炭素戦略

2024年12月13日(金)12時17分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

2つ目は、営業車両の電気自動車(EV)化の取り組みだ。

日本自動車販売協会連合会によると、2023年の登録台数(乗用車)に占めるEVの割合は約1.7%で、充電のインフラも整っているとは言いがたいが、同社は従業員が充電に使用した電気代に対する補助手当や、降雪地帯における実証実験などによって導入を推進。2024年10月の時点で、営業車両の約70%をEV化することに成功している。

この取り組みには、他の企業からも注目が集まっており、営業車両をEV化する際の参考事例に挙げられることも増えているそうだ。

newsweekjp20241212105035-3cd2c67db9090bd748d0d0d17f8cb880aa3a4065.png

アストラゼネカ株式会社の電気自動車の営業車両。EV車以外は全てHV車のため、全営業車両が環境対応車

科学的根拠のある排出削減ロードマップ、『企業ネットゼロ基準』の認定を先駆け取得


移動時のCO2排出量削減は、アストラゼネカのグローバルな取り組みの一部に過ぎないが、その一番の特徴は、SBTiの企業ネットゼロ基準に沿って、科学的根拠に基づいて独自のロードマップを作成している点にある。

現在、「平均気温の上昇を産業革命前と比べ1.5~2℃に抑える」というのが世界共通の目標だが、アストラゼネカでは原料調達から製造、販売、消費、廃棄までの各種データを集積した上で、目標達成の道筋を解析。

「2026年までに自社事業における温室効果ガスの排出量を2015年比で98%削減する」「2045年までにバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量の絶対量を2019年比で90%削減し、ネットゼロを達成する」などの具体的な目標を打ち出している。

この脱炭素目標は「アンビション・ゼロカーボン」と名付けられ、世界規模で多くの活動が行われている。それらの取り組みの中には排出する温室効果ガスを削減するだけでなく、自然由来の方法で「除去」する活動も含まれている。

「AZフォレスト」と呼ばれる植樹活動がそれだ。「AZフォレスト」は、2030年までに6つの大陸で2億本の植樹を行うプログラムで、約30年かけて3000万トンの二酸化炭素を除去することを目指している。

以上のようなアプローチに取り組む背景として、1.5℃目標を達成するための国際的な基準を定義する国際機関SBTi(Science Based Targets initiative)が、2021年に企業のネットゼロ基準を導入した際、アストラゼネカは最初に認証された7社のうちの1社となり、評価されている。

脱炭素社会の実現を目指す道のりは平坦ではない。明るい未来にたどり着くには、それぞれの企業が努力するだけでなく、国や地域、企業、個人が相互に協力し合うことが重要になるだろう。

先進的な取り組みを行う企業が道を開き、賛同する多くの地域、企業、個人が追随していく――。そうした動きが積み重なって、社会全体のムーブメントになれば、ネットゼロという目標はより早く実現に近づくに違いない。


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英住宅売却希望価格、6月として14年ぶりの大幅下落

ワールド

インドのモディ首相、キプロス訪問 貿易回廊構想の実

ワールド

イスラエル・イラン衝突、交渉での解決が長期的に最善

ビジネス

バーゼル銀行監督委、銀行の気候変動リスク開示義務付
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中