最新記事
エネルギー

AIやクラウドの拡大でデータセンターの電力需要が拡大...再エネ導入遅く、化石燃料の使用急増へ

2024年11月23日(土)13時38分
データセンターの電力消費拡大で化石燃料の使用急増

データセンター関連の電力需要が急拡大している影響で、地球温暖化にとって心配な事態が起きる可能性が高まっている。それは化石燃料の使用が近く大幅増加することだ。写真はグーグルのデータセンター。デンマークのフレデリシア近郊で2020年11月撮影。Frank Cilius/Ritzau Scanpix/via REUTERS(2024年 ロイター)

データセンター関連の電力需要が急拡大している影響で、地球温暖化にとって心配な事態が起きる可能性が高まっている。それは化石燃料の使用が近く大幅増加することだ。

ロイターが各国の電力会社や規制当局者、研究者らに取材したところ、人工知能(AI)の登場とクラウドコンピューティング普及に起因する驚くほどの電力需要の伸びは、天然ガスや、場合によっては石炭を含めた化石燃料で賄われようとしている。背景には、クリーンエネルギーの導入ペースがあまりにも遅く、需要に追いつけていないという事情がある。

世界のデータセンターの3分1が拠点を置く米国では、電力各社が新たな天然ガス火力発電所を建設するとともに、老朽化した化石燃料使用発電所の引退を先送りして、データセンターへの電力供給に対応。ポーランドでは電源構成における石炭の比重がなお大きく、ドイツやマレーシアでも石炭が利用されかねない、と複数の企業幹部や規制当局者、専門家などが明らかにした。

このような見通しは、既に電力の脱炭素化目標達成に苦戦し、アゼルバイジャンで22日まで開催された国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)に参加した世界各国にとって、新たなハードルが加わることにもなる。

COP29では初めてデジタル化と気候変動の関係を議論する機会が設けられ、中国や韓国を含めた68カ国が支持する形で、デジタル化の環境への影響を抑制するとの宣言が打ち出された。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

11月ショッピングセンター売上高は前年比6.2%増

ビジネス

中国の海外ブランド携帯電話出荷台数、11月は128

ワールド

日経平均は小反発、クリスマスで薄商い 売買代金は今

ワールド

タイ11月輸出、予想下回る前年比7.1%増 対米輸
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中