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海藻養殖で「海の砂漠化」を防ぐ...「ブルーカーボン推進」で海を守り、地域を盛り上げるヴェントゥーノの挑戦

2024年11月5日(火)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

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「ブルーカーボン推進における地域貢献協定」締結式の様子(左から月形糸島市長、中溝ヴェントゥーノ会長、畑中糸島漁協副組合長理事、中野ヴェントゥーノ社長)

この取り組みは、ヴェントゥーノのコア事業にも恩恵をもたらしている。22年4月には、糸島産メカブから抽出されるフコイダンを主原料にしたスキンケア製品「人魚の伊都姫」の販売を開始した。この海藻ジェルパックは、糸島市のふるさと納税返礼品にも採用されている。25年にも糸島ブランドの新商品をリリース予定だ。

糸島漁協が実施し、ヴェントゥーノがサポートするアカモクの試験栽培では、23年に養殖している海の直下で天然のアカモクが自生しているのが確認された。アカモクには、高いブルーカーボン効果が期待されている。

こうした成果や日々の会話を重ねることで、協定に賛同する漁師の数も順調に増え続けているという。

ブルーカーボン推進にかける思いと今後の戦略

一連の取り組みについて、同社経営企画室の広報・ブルーカーボン推進担当チーフである中村優希氏は次のように思いを語る。

「当社は『海藻の可能性でイノベーションを起こし、人と海が美しい未来をつくる。』というパーパスのもと、九州大学や医療機関などと共同研究しながら商品開発に取り組んできました。海洋環境を守ることは、当社にとっては国産の商品原料の確保に、お客様に対しては美と健康に、漁協にとっては生産量の向上につながります。引き続き、環境面でも経済面でも持続可能な取り組みを進めていくことが私たちの使命だと考えています」

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糸島の廃棄メカブをアップサイクルした糸島ブランドスキンケア商品「人魚の伊都姫」

現在、ヴェントゥーノは産官民の3社連携では福岡初となる2025年度の「Jブルークレジット」の認証・発行に向けて準備を進めている。これはカーボンクレジットの仕組みを海の分野に落とし込んだもので、海洋生態系が吸収したCO2の削減量を算出し、「排出権」として企業等に販売することができる制度だ。

糸島での取り組みが実を結べば、磯焼けに悩む他地域や海外にも対策のロールモデルとして広がっていくかもしれない。海洋生態系の崩壊を食い止め、持続可能な未来を築くために、ヴェントゥーノのブルーカーボン推進プロジェクトには今後もさらなる躍進が期待される。

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