最新記事
SDGsパートナー

尾瀬の水芭蕉が咲き誇る風景を「日本酒」で取り戻す、永井酒造の挑戦

2024年8月20日(火)11時10分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
「尾瀬の水芭蕉プロジェクト」現地活動の様子

「尾瀬の水芭蕉プロジェクト」現地活動の様子

<群馬県で130年以上酒造りを営む永井酒造株式会社。2020年に新たに発売した「MIZUBASHO Artist Series」を軸に、地元尾瀬の水芭蕉を守る環境保護活動を次世代とともに取り組むなど、幅広い活動を通じてよりよい社会作りを>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

地元・尾瀬の水芭蕉のある風景を取り戻す

永井酒造株式会社は、1886年の創業以来、群馬県川場村で日本酒製造を営んでいる。同社が、現在取り組んでいるのが「尾瀬の水芭蕉プロジェクト」だ。

水芭蕉は川場村にほど近い尾瀬を代表する花だが、近年、地球温暖化の影響でニホンジカの食害に遭うようになり、その数は激減している。

プロジェクトリーダーを務める永井松美氏は、プロジェクトの背景についてこう語る。

「2019年に現蔵元が久しぶりに大清水湿原に足を運んだ際、一面に広がっていた水芭蕉が大幅に減っていることに気づきました。そして、『自身が思い描いていた風景を取り戻したい』と思ったことが、この活動に繋がっています。

そもそも、初代当主がこの土地の水に惚れ込んで創業し、水を守るために森を買い足して自然環境を保護してきたことが当社の原点。地元の自然を守り、次世代に受け継いでいく取り組みは、当社の理念に直結していると考えています」

2030年までに2万株の水芭蕉の花を咲かせるという目標を掲げ、賛同する企業や学校とともに苗場の整備や種の収穫、苗植え、広報活動のためのインターネットラジオやキャンペーン展開などを行っている。

「尾瀬は国立公園なので育苗には尾瀬に咲く水芭蕉の種しか使えないという制約がある上、水芭蕉の花は咲くまでに3年以上かかります。そのため、数百株まで減った水芭蕉を2万株まで増やすのは簡単ではありませんが、同じ志を持つ企業や地元の尾瀬高校とも協力することで、少しずつ成果が出てきています。これからも日本の美しい原風景を守り続けていきたいです」と、永井氏。

「MIZUBASHO Artist Series」を中心に多様な取り組みを推進

MIZUBASHO Artist Series

「MIZUBASHO Artist Series」左からスパークリング酒(食前酒)、スティル酒(食中酒)、デザート酒(食後酒)

「尾瀬の水芭蕉プロジェクト」の活動資金となっているのが「MIZUBASHO Artist Series」だ。尾瀬の未来に持続可能な形で貢献するために立ち上げた日本酒シリーズで、売り上げの5%を寄付している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インドのサービスPMI、11月は59.8に上昇 輸

ワールド

タイCPI、11月は前年比0.49%下落 8カ月連

ビジネス

中国大手銀行、高利回り預金商品を削減 利益率への圧

ワールド

米、非欧州19カ国出身者の全移民申請を一時停止
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 5
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 8
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 9
    22歳女教師、13歳の生徒に「わいせつコンテンツ」送…
  • 10
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中