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「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密

2025年9月3日(水)15時30分
ニール・バルジライ (アルバート・アインシュタイン医科大学教授)

ある研究によると、信頼できる時計遺伝子、つまり、真っ暗でも24時間サイクルを維持する時計遺伝子を持つマウスは、そのように規則的なサイクルを維持できない遺伝子を持つマウスより長生きしたという。

夜勤のために睡眠パターンが崩れる人は、日中働いて夜寝る人より、さまざまな症状や病気のリスクが高いことは、かねてからわかっている。夜勤で働く人は時とともに、潰瘍、心臓病、糖尿病、がんを発症する傾向がある。


また、不眠症、うつ病、認知症にもなりやすい。そしてアンナ・マリア・クエルヴォの研究では、時計遺伝子は自食作用を生ごみ処理機のように強力にし、活性化した自食作用が時計遺伝子を活性化することが示された。

時計遺伝子とその作用がもっとよくわかれば、最大の効果が得られる治療や介入の時間を選べるようになるだろう。その一方で、薬剤開発企業は、睡眠障害や不規則な生活を予防する薬を求めて研究中だ。

DNAが言いたいこと

わたしたちが最初の被験者のセンテナリアン44人の遺伝子配列を調べた際に、彼らは病気に関係する230以上の遺伝子型を持ちながら、その病気になっていなかった。老化の特徴から彼らを守る別の変異も持っていたからだ。

また、認知機能の向上と低下の両方に関係するCETP遺伝子型を観察し、CETPの効果がだれでも共通ではないことも見てきた。

つまり困ったことに、1つの遺伝子型によって決めることはできない。それどころか、人は一度に1つの多様体から作られているわけではないので、1つの遺伝子型だけに注目するのは無意味である。だからこそ遺伝情報を分析するのだ。

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