「目を見開く」人は何を考えてる?...シャーロック・ホームズも駆使する「ボディランゲージ解読術」
『白面の兵士』では、ホームズ(ここでは語り手)がやや込み入った問題について自身の意見を述べる場面がある。相手のボディランゲージを注意深く観察する様子に注目してほしい。
「どうしてわかったんだ?」彼はどさりと椅子に座りこみ、声を絞り出すように尋ねた。
「何でもわかるのが私の仕事です。それを生業としていますから」
男は深く考えこみながら、骨と皮ばかりの手でむさくるしい顎ひげを引っ張っていたが、やがてあきらめたように肩をすくめた。
基本のボディランゲージ読み取り術
ボディランゲージの解釈は、ひと晩で身につくようなものではない。長い時間をかけて、経験を積みながら磨き上げていくスキルだ。おまけに、時間をかけたからといって、かならずしも正しく解釈できるとはかぎらない。他人を評価する際に、他の多くの要因とあわせて用いる手段にすぎないのだ。
まずは、ボディランゲージを読み取るための基本を学ぼう。
●状況
1つの動作には、いくつもの意味がある。
バーで男性と話をしている若い女性が、しきりに髪に手をやっていたら、無意識に誘いをかけている可能性が高い。だが、就職の面接で同じ動作をすれば、おそらく緊張しているせいだろう。
同様に、腕を組むのは、多くの場合、身を守ろうとする仕草だが、それがイグルー(訳注:氷や雪のかたまりを積み上げて作るイヌイットの住居)の中だったら、単に寒いからだろう。