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美容院の「ゴミ」が地球を救う? 欧州発「究極の循環型社会」

2025年8月28日(木)19時00分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)
ヘアーカット

New Africa / shutterstock

<英国だけで年間670万kgが埋め立て処分される髪の毛。これを資源にする試みが始まっている>

美容院や理髪店で切った髪の毛は、通常はごみとして捨てられるが、一部はヘアドネーション(髪の寄付)されたり、集めて毛髪マットに生まれ変わり、海や河川の汚染処理(マットに油分を吸収させる)に使われている。

毛髪マットは、フランスのコワフュー・ジューステ(1人の美容師が立ち上げた協会)が10年来作っている。ベルギー、オランダ、ルクセンブルクでは、ベルギーの非営利団体ダーン・ダーンが主導する「ヘア・リサイクル」と呼ばれる毛髪マットのプロジェクトが展開しており、2022年には毎月6トンの髪の毛が回収された。

一方、集めた髪の毛を身近なアイテムに変えるユニークなプロジェクトも進められている。

毛髪を編み、生活用品にアップサイクル

昨年、ロンドンで、サステナブルな素材を使ったデザイン展を訪れた時、一風変わった実用品に出合った。コルク、生分解性プラスチック、オレンジの皮、リサイクルアルミニウムといった素材を使った展示品のなかに、カットされた頭髪から作られた糸やロープがあった。

これらの糸やロープは洋服の飾りや、鏡のフレームおよび吊るすための紐として使われていた。また、犬用リードも展示されていた(1本190~210ポンドで購入可能)。

犬用リードの特徴

主にロンドンの美容院で集めた髪の毛100%で作られたリードは、首輪に取り付けるステンレス製フックが付いたシンプルなデザイン。集めた髪本来の色を活かし、茶色や黒をベースにグレーやゴールドが混ざった色合いだ。

手入れは洗髪と同じく、汚れたらシャンプーで洗うことが推奨されている(自然乾燥させる)。古くなった使用済みのロープは堆肥化できる。

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