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40歳を過ぎても太りにくい人には理由がある──コーヒーで変わる体質、「ベージュ脂肪細胞」の正体とは

2025年7月22日(火)13時01分
池谷敏郎(池谷医院院長、医学博士)*PRESIDENT Onlineからの転載
40代から太りやすくなる理由と対策──脂肪を燃やす「ベージュ脂肪細胞」の活性法とは?

Narong Khueankaew -shutterstock-

<年齢とともに太りやすくなる原因は「脂肪を燃やす細胞」の減少にあった。注目成分トリゴネリンや日常習慣で、燃えやすい体をつくる方法を医師が解説>

年を取ると、なぜ太りやすくなるのか。医師の池谷敏郎さんは「40歳を過ぎると、脂肪を燃やしてくれる褐色脂肪細胞が減っていくことが原因のひとつ。脂肪が燃えやすい体を維持するために、コーヒーに含まれる『トリゴネリン』が注目されている」という――。

※本稿は、池谷敏郎『高血圧、脳卒中、心筋梗塞をよせつけない! 「100年血管」のつくり方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

フランス料理はこってりなのに、病気になりにくい

「フレンチ・パラドックス」という言葉、耳にしたことはありますか? フランス料理といえば、おいしいけれど、こってりという印象ですよね。

もう20年以上も前ですが、フランス人はバターや生クリーム、チーズなどの動物性脂肪をたくさん摂っているのに、なぜか、それらが原因のひとつといわれる心血管系の病気になりにくいという研究結果が報告されました。アメリカ人と同じように高脂肪食を食べているのに、心血管系の病気にかかる人の割合はアメリカ人の半分近くと少なかったのです。

 


このフレンチ・パラドックス(フランスの逆説)の答えとして注目を浴びたのが、赤ワインでした。赤ワインに含まれるポリフェノール(ファイトケミカルのひとつです)には、活性酸素を除去する抗酸化作用があるので、悪玉コレステロールが活性酸素によって酸化されて動脈硬化が進むのを防いでくれているのではないか、と考えられたのです。

フレンチ・パラドックスという言葉を初めて知った人も、「赤ワインは健康にいいらしい」という話は聞いたことがあるでしょう。ただ、その後、赤ワインが死亡率を下げる、心臓病にかかるリスクを下げることについては否定する研究結果も出ています。なんともスッキリしない話で恐縮ですが、前項目でも書いた通り、お酒については、まだはっきりしないことも多いのです。

「緑茶」が長生きの秘訣になる

でも、ポリフェノールが抗酸化作用を持つことは真実。そして、ポリフェノールを含む飲み物は、赤ワインだけではありません。

緑茶も、ポリフェノールの一種である「カテキン」が豊富で、いろいろな健康効果が知られています。カテキンの働きとして知られているのが、抗酸化作用や抗ウイルス作用、糖やコレステロールの吸収を抑える作用など。継続的にカテキンを摂ることで、肥満気味の人の内臓脂肪を減らす働きがあることも注目されています。

少し前に、緑茶を飲む量が増えるほど死亡リスクが低くなるという研究結果を国立がん研究センターが発表し、話題になりました。

この研究では、1日1杯未満の人、1日1〜2杯の人、1日3〜4杯の人、1日5杯以上の人と、4つのグループに分けて、全死亡とがん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患などとの関連を調べたのですが、緑茶を飲む量が増えるほど、死亡リスクは低下する傾向が見られたのです。

とくに心疾患や脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡リスクは、お茶をよく飲む人ほど低くなっていました。

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