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10分おきに目薬をさす...「基礎涙」がない「慢性ドライアイ」とは?

The Pain of No Tears

2025年7月10日(木)09時40分
メラニー・ソーンダーズ(眼疾患患者)

私には「基礎涙」がない。常に分泌されて目を潤し、角膜の神経に栄養を届ける涙だ。

基礎涙がないことを補うために使っているのが、自分の血液を薄めて作った目薬だ。これを使わなければ角膜が劣化し、最悪の場合には神経が完全に死ぬ。すると痛みも感じなくなり、放置すれば失明してしまう。


オンラインの仕事は無理

目薬は毎日10分おきに差す。瞬きによる摩擦を防ぐために、人工的に潤いを与え続けなければならない。血液の目薬は1日に20〜30回差す。血液の目薬は冷蔵保存が必要だから、外出時にはクーラーボックスを持ち歩く。

車の運転もできず、本も読めず、パソコンの画面を長時間見ることもできない。オンラインの授業を受けるのも仕事をするのも無理だ。

やれることは本当に限られている。ドライアイの深刻さが理解されないのは、こうした表に出にくい細かい事情が知られていないせいではないかと思う。

いま世界中で、若者のさまざまな病気に注目が集まっている。でも、この病気についてはほとんど語られていない。私と同年代やもっと若い人たちが家に閉じ籠もり、ベッドからも起きられず、仕事もできない状態でいる。

私は慢性ドライアイに悩む若者向けのサポートグループをつくった。すると、宣伝もしていないのに300人が集まった。この病気のせいでスマホやパソコンが使えず、グループの存在すら知らない人がどれほどいるか分からない。

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