最新記事
健康

老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌の育て方【最新研究】

2025年1月31日(金)09時20分
内藤裕二(京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座 教授)

腸内細菌にいいとされる地中海食

『健康の土台をつくる 腸内細菌の科学』(日経BP) 105頁より イラスト/二階堂ちはる


地中海食はフレイルや認知機能の改善と正の相関があり、炎症や組織の破壊が起きているときに増えるタンパク質や、炎症を促進する生理活性物質IL-17などの炎症マーカーと負の相関が見られています。また、腸内細菌叢は地中海食により短鎖脂肪酸産生菌(短鎖脂肪酸をつくる菌)が増えていました。

一方、米国では大腸がんが多いため、がん予防のために何を食べたらいいかという視点から腸内細菌やその代謝物の研究が進められました。その結果、炎症を防ぐポリフェノールや魚油などの抗酸化成分を多く含む食材など、食事性炎症指数(DII:dietary inflammatory index)の低い「炎症抑制食品」がいいという結論に行きついています。

抗酸化成分が腸内の活性酸素などを除去することで、腸内細菌バランスが改善し、腸そのものも元気になるという考えのようです。

確かに、お茶に含まれるカテキンや、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニンなどのポリフェノールを多くとるとアッカーマンシア菌が増えるという研究もあります。

ただ、米国風の食生活がベースとなっているせいか、炎症抑制食品の中にはピザやビールなど、医師としては少し疑問に思う食品も含まれています。実際にどれくらい有効なのかは今後の研究に期待するところです。


【参考文献】
[*]Mediterranean diet intervention alters the gut microbiome in older people reducing frailty and improving health status: the NU-AGE 1-year dietary intervention across five European countriesGut 2020, 69: 1218-1228. 


内藤裕二(Yuji Naito)
京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座 教授
京都府立医科大学卒業。米国ルイジアナ州立大学医学部分子細胞生理学教室客員教授、京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学教室准教授、および同附属病院内視鏡・超音波診療部部長などを経て、2021年4月より現職。腸内細菌学、抗加齢医学、消化器病学を専門とする。2023年、胃腸の機能低下と病気のリスクとの関連について研究する「日本ガットフレイル会議」を発足。医師向けの『すべての臨床医が知っておきたい腸内細菌叢』(羊土社)のほか、一般向けの著書多数。


newsweekjp20250129084939-bdfd55850a04ac2fb7265a8da5616ec6a2436327.png


 『健康の土台をつくる 腸内細菌の科学
  内藤裕二[著]
  日経BP[刊]


(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月7号(3月31日発売)は「日本企業に迫る サステナビリティ新基準」特集。国際基準の情報開示や多様な認証制度――本当の「持続可能性」が問われる時代へ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エネ市場の緊張が金融安定に及ぼす影響を懸念=イタリ

ワールド

ゴールドマンとシティ、パリの従業員を在宅勤務 爆破

ワールド

英企業、エネ価格急騰で値上げ加速へ 雇用削減見込む

ビジネス

テスラの中国製EV販売、2四半期連続増 3月単月も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 3
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 8
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    破産申請の理由の4割以上が「関税コスト」...トラン…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中