老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌の育て方【最新研究】
地中海食はフレイルや認知機能の改善と正の相関があり、炎症や組織の破壊が起きているときに増えるタンパク質や、炎症を促進する生理活性物質IL-17などの炎症マーカーと負の相関が見られています。また、腸内細菌叢は地中海食により短鎖脂肪酸産生菌(短鎖脂肪酸をつくる菌)が増えていました。
一方、米国では大腸がんが多いため、がん予防のために何を食べたらいいかという視点から腸内細菌やその代謝物の研究が進められました。その結果、炎症を防ぐポリフェノールや魚油などの抗酸化成分を多く含む食材など、食事性炎症指数(DII:dietary inflammatory index)の低い「炎症抑制食品」がいいという結論に行きついています。
抗酸化成分が腸内の活性酸素などを除去することで、腸内細菌バランスが改善し、腸そのものも元気になるという考えのようです。
確かに、お茶に含まれるカテキンや、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニンなどのポリフェノールを多くとるとアッカーマンシア菌が増えるという研究もあります。
ただ、米国風の食生活がベースとなっているせいか、炎症抑制食品の中にはピザやビールなど、医師としては少し疑問に思う食品も含まれています。実際にどれくらい有効なのかは今後の研究に期待するところです。
【参考文献】
[*]Mediterranean diet intervention alters the gut microbiome in older people reducing frailty and improving health status: the NU-AGE 1-year dietary intervention across five European countries.Gut 2020, 69: 1218-1228.
内藤裕二(Yuji Naito)
京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座 教授
京都府立医科大学卒業。米国ルイジアナ州立大学医学部分子細胞生理学教室客員教授、京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学教室准教授、および同附属病院内視鏡・超音波診療部部長などを経て、2021年4月より現職。腸内細菌学、抗加齢医学、消化器病学を専門とする。2023年、胃腸の機能低下と病気のリスクとの関連について研究する「日本ガットフレイル会議」を発足。医師向けの『すべての臨床医が知っておきたい腸内細菌叢』(羊土社)のほか、一般向けの著書多数。
『健康の土台をつくる 腸内細菌の科学』
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