最新記事
ダイエット

白米が玄米よりもヘルシーに

Super Rice on Horizon

2024年9月25日(水)10時25分
ハッティ・ウィルモス
茶碗一杯のご飯

白米が高タンパクで低GIになれば理想的な主食になる FLYINGV43/ISTOCK

<遺伝子解析で高タンパク・低GIのコメが開発された>

AI(人工知能)の活用により、従来のコメより高タンパクで、しかも血糖値が急上昇しない品種が開発されたという。フィリピンの国際稲研究所(IRRI)が米カリフォルニア大学デービス校、独マックス・プランク研究所などと協力して行った研究で、その成果は米国科学アカデミー紀要(PNAS)に8月27日付で掲載された

食後血糖値の上昇率を示すGI値の高い食品を日常的に食べていると、肥満やインスリン抵抗性、前糖尿病、さらには2型糖尿病などにつながることは知られている。高GI食品の代表格は精製された小麦粉や白米だ。どちらも消化吸収しやすい炭水化物を多く含む一方、タンパク質や食物繊維が少ない。


だが今回、研究チームはAIによる解析でタンパク質の含有量とGI値をつかさどる遺伝子を特定した。そして2種類の稲の交配により、GI値が45に満たず(白米のGIは80前後、玄米でも55前後)、タンパク質の含有量が16%弱(通常の白米の約2倍)の品種を作り出すことに成功した。

コメが主食の人口に朗報

こうした品種が世界中で栽培されるようになれば、コメを主食とする地域の人たちも良質なタンパク質と必須アミノ酸を手軽に摂取しやすくなると期待される。

世界全体では約5億3700万人の成人が糖尿病を患っており、その90〜95%は生活習慣や高GI食品の摂取に関連する2型糖尿病とされる。ちなみに世界の糖尿病患者の約60%はアジアにいて、白米の約90%はアジアで生産・消費されているという。

「地球の総人口のかなりの部分がコメを主食としている。だから良質なタンパク質を多く含み、GI値が低く、かつ収量の多い品種を栽培することは、低・中所得国の人々の栄養状態改善につながる」。今回の研究を指導したカリフォルニア大学のグルデブ・クッシュは、IRRIの報道発表でそう述べている。

ただし、その普及には安全性と栽培適性(気温上昇への適応力など)がカギとなる。


ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

台湾巡る日本の発言は衝撃的、一線を越えた=中国外相

ワールド

中国、台湾への干渉・日本の軍国主義台頭を容認せず=

ワールド

EXCLUSIVE-米国、ベネズエラへの新たな作戦

ワールド

ウクライナ和平案、西側首脳が修正要求 トランプ氏は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 7
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 8
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中