最新記事

ヘルス

「減塩でヘルシー」はウソ? 医療界が隠す「塩分たっぷり摂る日本人が長寿」という不都合な真実

2022年11月25日(金)18時10分
大脇 幸志郎(医師) *PRESIDENT Onlineからの転載

「塩とカリウムの目標値は同時に達成できない」という矛盾

海外の目標値のほうをくわしく見てみます。2010年のアメリカのガイドラインでは、ナトリウムを2300mg、塩に換算するとおよそ5.8gを目標としています(注5)。
注5 Dietary Guidelines for Americans, 2010.

それはいいのですが、同じガイドラインで、カリウム4700mgが妥当な量としています。

カリウムはどちらかといえば血圧を下げるので、多いほうがよいことになっています。

そして、塩とカリウムは似たような食品に含まれています。

その結果、塩の目標値とカリウムの目標値は同時に達成できないということを2013年の論文が指摘しました(注6)。

矛盾を指摘されたためか、現行版ではカリウムの基準値がなくなっています(注7)。
注6 Nutr Res. 2013 Mar;33(3):188-94.
注7 Dietary Guidelines for Americans, 2020-2025.

いったい塩はいくらにすればいいのでしょうか?

過去の研究データからわかった「減塩と血圧の新事実」

目標値が当てにならないので、効果を考えてみます。

減塩の目的は血圧を下げることだとしましょう。本当は血圧を下げることで心臓や脳の病気を防ぐこととか、長生きすることが目標のはずですが、血圧は測りやすいので研究データも豊富にあります。

そこでまずは血圧を考えてみます。

最近、減塩と血圧についての過去の研究データすべてを集めて、ひとつひとつ信頼できるかどうかを吟味し、ぜんぶ足し合わせるという、非常におおがかりな研究がおこなわれました(注8)。
注8 Cochrane Database Syst Rev. 2020 Dec 12;12(12):CD004022.

アジア人は減塩しても「血圧が下がるとはいえない」

高血圧の研究のなかでは、人種によって、つまり白人と黒人とアジア人は体が違うので、高血圧治療の効果も違うのではないか、と考えられていた歴史があります。

そうした背景から、一部の研究では人種を区別して結果が報告されています。

そしてこの調査でも人種を区別して減塩の効果が解析されました。

白人では1日11.8gの塩を4gに減らすことで、上の血圧が1mmHgほど下がっていました。黒人では4mmHgほど下がっていました。

アジア人では1.5mmHgほど、ただし誤差を考えるとじつは上がるのかもしれない、減塩で血圧が上がるのか下がるのかはわからないという結果でした。

アジア人が減塩をしても血圧が下がるとはいえないのです。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アングル:コーヒー相場に下落予想、「ココア型暴落」

ワールド

アングル:米公共工事から締め出されるマイノリティー

ワールド

再送-米政府、海上停滞中のイラン産原油売却を容認 

ワールド

米国防総省、パランティアのAIを指揮統制システムに
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    メーガン妃、親友称賛の投稿が波紋...チャリティーの場でにじんだ「私的発信」
  • 3
    BTSカムバック公演で光化門に26万人、ソウル中心部の交通を遮断 ──「式場に入れない」新婦の訴えに警察が異例対応
  • 4
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 5
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 9
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 10
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中