最新記事

ヘルス

「減塩でヘルシー」はウソ? 医療界が隠す「塩分たっぷり摂る日本人が長寿」という不都合な真実

2022年11月25日(金)18時10分
大脇 幸志郎(医師) *PRESIDENT Onlineからの転載
フライドポテトと塩

塩分たっぷりの食べ物も気にしなくて大丈夫? zeleno - iStock photo


減塩は健康にいいと言われている。本当なのか。医師の大脇幸志郎さんは「アジア人は減塩しても血圧が下がらないというデータがある。そもそも血圧が下がっても病気を予防する効果はあまりない。高血圧者などを除くと、減塩にはほとんど効果がない」という――。

※本稿は、大脇幸志郎『運動・減塩はいますぐやめるに限る!』(さくら舎)の一部を再編集したものです。

「減塩の目標値」はバラバラ

減塩みそに減塩バターと、塩はとかく悪者扱いされ、塩を減らすのが健康的だと信じられています。厚生労働省も長年にわたって、塩を減らせといいつづけてきました。

これは世界共通の事情で、世界保健機関(WHO)からも減塩をすすめるガイドラインが出ています。

それぞれの言い分によると、塩で血圧が上がり、血圧が上がると心筋梗塞(こうそく)や脳卒中になり、早死にしてしまう。そういうお話になっています。

ところがこのお話、よく見るといろんなところがおかしいのです。

たとえば、減塩の目標値があまりに厳しいうえに、人によってぜんぜん違っています。

厚生労働省は成人男性で1日7.5g、女性で6.5gとしています(注1)。WHOの目標は5gです(注2)。

アメリカのデューク大学のウォルター・ケンプナーという人がおおぜいの患者にやらせていた食事療法では、なんと0.35gでした(注3)。
注1 日本人の食事摂取基準(2020年版)
注2 Guideline: Sodium intake for adults and children.
注3 Am J Med. 1948 Apr;4(4):545-77.

「塩をたくさん食べる日本人」は長生き

じっさいには、日本人は平均で1日10.1gの塩を食べています(注4)。日ごろの食事をこれまでとはぜんぜん違うものに置き換えなければ、こうした過激な目標は達成できません。
注4 令和元年国民健康・栄養調査

そこで不思議なのが、これほど全世界で塩を減らせ減らせといっていて、日本人は塩をたくさん食べているのに、なぜか日本人が長生きだという事実です。

日本人の健康は塩で押し下げられていて、塩を世界標準にまで減らせば、さらに突出して長生きになるのでしょうか?

それとも、塩はそれほど体に悪くないのでしょうか?

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

国連調査委、ガザのジェノサイド認定 イスラエル指導

ビジネス

英雇用7カ月連続減、賃金伸び鈍化 失業率4.7%

ビジネス

25年全国基準地価は+1.5%、4年連続上昇 大都

ビジネス

豪年金基金、為替ヘッジ拡大を 海外投資増で=中銀副
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中