最新記事
教育

地元では東大卒より名誉だった ──【超名門・旧制第一中学】47都道府県の公立高校全一覧

2022年2月5日(土)12時09分
小林哲夫(教育ジャーナリスト) *PRESIDENT Onlineからの転載
日比谷高校の正門

「旧制第一中学」のひとつ、日比谷高校の正門(copyright : Rs1421、CC BY-SA 3.0、wikimedia commons


各都道府県には「旧制第一中学」と呼ばれる名門公立高校がある。明治期に作られた「第一中学」の流れをくむこれらの高校は、各地で不動のステータスを誇る。教育ジャーナリストの小林哲夫さんは「特に1960年代の"旧制一中"は地域の天才や秀才が集まっており、東京大学への進学実績も非常に高かった。地域によっては東大卒よりも価値があると言われていた」という――

※本稿は、小林哲夫『「旧制第一中学」の面目 全国47高校を秘蔵データで読む』(NHK出版新書)の一部を再編集したものです。

新制高校になってから築き上げた「一中ブランド」

旧制第一中学ではその地域の神童、天才、秀才が一堂に会する。それは難関大への合格実績にしっかり反映されてきた。都道府県別に、一中から東京大合格者をもっとも多く出した年をまとめてみた(図表1)。このなかで上位十校は次のとおり(※図表2は2021年における一中からの東大合格者数)

旧制第一中学継承校の東京大学合格者数のピーク

出所=『「旧制第一中学」の面目 全国47高校を秘蔵データで読む』より

2021年、旧制第一中学継承校からの東京大学合格者数

出所=『「旧制第一中学」の面目 全国47高校を秘蔵データで読む』より


①日比谷高校:193人(1964年)、②旭丘高校71人(1967年)、③千葉高校:62人(1988年と90年)、④浦和高校:61人(1985年)、⑤高松高校:39人(1968年)、⑥岐阜高校:34人(1975年)、⑦松本深志高校:31人(1968年)・鶴丸高校:31人(1972年)、⑨藤島高校:30人(1979年)、⑩宇都宮高校:29人(2008年)

一中が戦前から継承された、そして新制高校になってから築き上げた「一中ブランド」効果といっていい。なかでも突出していたのが日比谷である。同校からの東京大合格者は1960(昭和35)年:141人、61年:171人、62年:186人、63年:168人、64年:193人、65年:181人だった。

なぜ、日比谷はこんなに強かったのか。

9教科平均で90点を取っても合格できない

このころ、日比谷に入るために中学生は猛烈な受験勉強をしていた。1956(昭和31)年から都立高校入試は9教科(国語、社会、数学、英語、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭)となっており、900点満点の試験で、日比谷に合格するためには830点以上必要と言われていた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

台湾巡る日本の発言は衝撃的、一線を越えた=中国外相

ワールド

中国、台湾への干渉・日本の軍国主義台頭を容認せず=

ワールド

EXCLUSIVE-米国、ベネズエラへの新たな作戦

ワールド

ウクライナ和平案、西側首脳が修正要求 トランプ氏は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 7
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 8
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中