最新記事

0歳からの教育

アーティストで2児の母、草野絵美が『0歳からの教育』に感じた大きな違い

2022年2月10日(木)16時15分
岡田光津子(ライター)

親がやりたいことを一生懸命やっている背中を子どもに見せる

草野さん自身、そういう親の背中を見て育ってきた。彼女の母親は、イラストレーター/エッセイストとして活躍中の草野かおるさん。専業主婦だったが、50代からブログを書き始めて作家デビューした。

娘がブログを書いている姿に刺激され、PTAの壁紙新聞などに書いていた防災の情報をブログに書き始めたところ、東日本大震災時に拡散されたことで、書籍化が決まったのだという。

「この間も、還暦の同窓会で1泊2日の旅行に行く予定があったらしいのですが、そのお金があれば防災士の資格が取得できるとのことで、同窓会はキャンセルして、資格取得にお金を使っていました。もう60代ですが、『次はTikTokやってみようかな』と言っていたり。そういう姿に、私も息子も刺激を受けています。いくつになっても挑戦し続ける姿は、やはりかっこいいなと思います」

また、子どもの創造性を高めるために、絵本の読み聞かせも意識的に行ってきたという。

0~2歳では、気に入った絵本を繰り返し読み聞かせる。ストーリーが理解できるようになる3、4歳からは、近所にある図書館に家族で出向き、たくさんの絵本を借りた。1人6冊までなので、草野さん、ご主人、息子さんと3人分の利用者カードがあれば、18冊の絵本を2週間借りることができた。

「絵本の中には、私も息子も行ったことがない国の物語、まったく違う時代設定の物語など、いろいろな種類のものがあり、語彙力を養う意味でも役立ちましたし、私自身もすごく楽しめました」

『おやすみなさい おつきさま』......いい絵本は読み継がれていく

2022年版でも、絵本ナビの磯崎園子編集長が「情緒を育むためのおすすめ絵本」を紹介している(86ページ)が、この中にも草野さんが実際に手に取ってきた絵本が数多くあった。

「なかでも『おやすみなさい おつきさま』(マーガレット・ワイズ・ブラウン作、クレメント・ハード絵/評論社)は長男が大好きだった絵本。何度も読み聞かせをしていました。今、ちょうど次男には『がたん ごとん がたん ごとん』(安西水丸作/福音館書店)を読んであげているところです。『よるくま』(酒井駒子作/偕成社)や『ずーっとずっとだいすきだよ』(ハンス・ウィルヘルム作・絵/評論社)もよく読んでいました。日々、新しい絵本がたくさん出てきていますが、やはりいい絵本はずっと読み継がれていく気がします」

また、子どもが興味を持ったものを先回りして入手し、目につくところに置いておく方法も有効だという。

最近、戦国武将に興味を持ち始めた長男のために、歴史漫画のセットを一式購入し、何も言わずに家の片隅に置いておいたところ、毎日のように眺めているとか。戦国武将を解説しているYouTube番組も一緒に観て、歴史を学び直す楽しいひと時となっている。

「ただ、得意不得意があるので、私が不得意な分野は夫に担当してもらっています。彼は工学系の研究者なので、プログラミング、3Dプリンターなどが得意。そういう部分は彼にお願いしています。それだけでなく、日々の子育てでも、頼れるところは頼るようにしています。家族はもちろん、行政のサポートなど、活用できるものはなるべく使い、とにかく自分の心身の状態を健康に保つこと。そうして親に余裕ができれば、それだけで子どもは安心して、その子らしく成長できるのではないのかな、と思っています。子どもの知的好奇心を伸ばし、親も一緒に成長していく。このマインドこそが、私が提唱している『ネオ子育て』なのです」

0sai_2022_mook_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

ニューズウィーク日本版SPECIAL ISSUE「0歳からの教育2022」が好評発売中。3歳までにすべきこと、できること。発達のメカニズム、心と体、能力の伸ばし方を科学で読み解きます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年1月以来の低水準

ワールド

アングル:コロナの次は熱波、比で再びオンライン授業

ワールド

アングル:五輪前に取り締まり強化、人であふれかえる

ビジネス

訂正-米金利先物、9月利下げ確率約78%に上昇 雇
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 10

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中