豪華キャストと美しい映像の裏で...ウェス・アンダーソン最新作が観客の心をつかめない理由

Another Anderson Movie

2025年9月11日(木)16時02分
デーナ・スティーブンズ(映画評論家)

ザ・ザは生き残るが、助手は体が真っ二つになって死ぬ。上半身が吹き飛んでも、下半身はきちんと座席に座っている。

ショッキングな幕開けの映像は、グロテスクなのに妙に端正。その後映画はザ・ザが人間らしさを取り戻す様子を描くが、助手の爆死が突き付ける問いに向き合うことはない。


漫画めいたその死を見て、観客の私たちはなぜ笑ったのか。この映画にとって、助手の死に意味はあるのか。

助手の後任には、ノルウェー人の昆虫学者ビョルン(マイケル・セラ)が納まる。さらにザ・ザは長年疎遠だった修道女見習いの長女リーズル(ミア・スレアプレトン)を、後継者に指名する。白い修道服に真っ赤な口紅が印象的な、正義感の強い娘だ。

ザ・ザとリーズルとビョルンは事業の資金調達の旅に出て、行く先々で風変わりな出資者と渡り合う。

世間知らずな王子(リズ・アーメッド)に、ナイトクラブの経営者(マチュー・アマルリック)。遠縁のヒルダ(スカーレット・ヨハンソン)に、ザ・ザは金目当てで結婚を申し込む。

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