ハワイゆかりの人々がハワイ語で語るハワイ王国の歴史劇...ドラマが描き出す「いま語られるべき歴史」とは?
Defending Traditions
英語中心のストーリーテリングが主流のテレビ界にあって、本作は全9話の大半がハワイ語で演じられている。その意味するところは重い。
「私はこの作品でひとことも英語を話していない。おかげで自分が何か特別なものに属していると感じることができた」とカーティスは言い、さらにこう続けた。「私たちは祖先に、そして子孫につながっている。将来の世代がこの作品で自分たちの文化の遺産を知り、自分たちの言語を誇れるようになってほしい」
本作では手作りの衣装や羽毛のマントから18世紀のハワイの村の正確な再現に至るまで、徹底した本物志向が貫かれている。撮影に当たっては伝統文化の継承者やハワイ語監修者の協力も仰いだ。
女性たちに光を当てる
カメハメハ大王の助言者で王妃カアフマヌの父であるモクを演じるモーゼス・グッズは、脚本に込められた文化的ニュアンスの深さが自分の演技を一段と引き立ててくれたと考えている。
「モクは新たに訪れる世界と自分たちの神々や伝統とのバランスを取りながら生き、その一方で娘を大王に嫁がせもする。つまり、ものすごくたくさんの顔を持っている。だから観客にとっても役者にとっても実に興味深い人物なんだ」とグッズは言う。
そうしたダイナミズムを実感できる場面が、カアフマヌと彼女に重い運命を伝える女性予言者との出会いの瞬間だ。将来の王妃を演じるルシアン・ブキャナンによれば、その予言は単にカアフマヌの運命を決定付けるだけでなく、父と娘の結び付きをより深めることにもなる。