最新記事
ハリウッド

トランプ関税は衰退するハリウッドを救うのに逆効果...米映画産業復活のため真に必要な「処方箋」

Right Symptoms, Wrong Diagnosis

2025年5月30日(金)15時35分
ブライアン・サリバン(娯楽産業や知財分野の弁護士)
「映画の都」ハリウッドも、もはや絶対的な存在ではない

「映画の都」ハリウッドも、もはや絶対的な存在ではない AP/AFLO

<かつて栄華を誇ったアメリカ映画産業が衰退しているのはトランプの言う通り。しかし、衰退の理由は外国製映画のせいではない>

ドナルド・トランプ米大統領は5月4日、アメリカの映画産業は「急速に死につつある」と警告し、ハリウッドを再び偉大にしたいと語った。この問題を医療に例えると、医師は患者の深刻な症状に気付いていたのかもしれない。

しかし、「外国製」の映画(それが実際に何を意味するかはさておき)に100%の関税を課すというこの医師の処方箋は、単なるスローガンであり、目の前にある現実の症状を治癒するものではない。


ハリウッドはこの国の宝だ。アメリカ映画は夢を生み、投資や観光客を誘致する巨大な「ソフトパワー」資産だが、全てが順調とは言い難い。

消費者の行動は変化している。人々は自宅でストリーミング配信の映画を見るようになり、映画館に行く機会は減った。かつてはアメリカ製なら何でも欲しがった国外市場も、今では自国のスターと個性を生かした国産映画への需要が高まっている。

世代交代が進むなかで、新しい「習慣」も勢いを増している。スマートフォンの短い動画で育ったTikTok(ティックトック)世代は、果たして長い映画に興味を持ち、集中力を保てるのか。

一方、テクノロジーは革命的な変化を生み出している。AI(人工知能)は脚本や製作のプロセスを一変させつつある。CG(コンピューター・グラフィックス)は撮影やセットの概念を覆している。

そして外国の映画産業やロケ地は、新しいアイデアや革新的な税制上の優遇措置でアメリカ人プロデューサーを引き付けている。もはやハリウッドは絶対的な存在ではない。

投資
「FXで長期投資」という投資の新たな選択肢 トライオートFX「世界通貨セレクト」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、鉄鋼・アルミ関税50%に引き上げ表明 

ワールド

日鉄は「素晴らしいパートナー」とトランプ氏、買収承

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 4
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 5
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 6
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 9
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 10
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中