最新記事
回想録

記事を3本書くだけで年俸は50万ドル...元「花形編集長」の過去語りが「ウザすぎる」

The Stars They Were

2025年5月2日(金)17時08分
ジェニー・G・チャン(スレート誌シニアエディター)

グレイドン・カーター著『When the Going Was Good』

古き良き時代を語り尽くす回顧録 PENGUIN RANDOM HOUSE

現在、フリーランスのライターの報酬は、英単語1語当たり50セントでも「そんなに悪くない」と言われる。

ところが、92年にカーターがバニティ・フェアで採用したビジネス記者ブライアン・バローの年俸は、ピーク時で49万8141ドルだったという。条件は1万語の記事を年に3本書くこと。つまり1語当たり16ドル60セント以上もらっていた計算になる。


報酬や特典だけではない。当時は、ニュースにする価値があるとトップが判断したネタなら、取材し、記事を書き、ファクトチェックをすることに、ほとんど無制限のお金をかけることができた。

現在は、よほど余裕のある出版社でない限り、ファクトチェックはごく最低限で済まされているが、当時は「フルタイムのファクトチェック担当者が約20人いた」と、カーターは書いている。「重要な特集には、もっとファクトチェック担当を雇えた。けっこうな出費だったけどね」

ライターにとっては夢のような環境だ。

ところがそこにインターネット、さらにはソーシャルメディア、アプリ、そしてスマートフォンが登場して、活字メディアの広告収入は右肩下がりの運命をたどり始める。

雑誌の廃刊が相次ぎ、クリック数を稼ぐための記事が増えて、ジャーナリズムの質は低下した。メディアに対する信頼は傷つき、読者のメディアリテラシーも低下した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FRBに2.5%の利下げ要求 「数千億

ビジネス

英ポンド上昇、英中銀の金利軌道の明確化を好感

ワールド

スペースX「スターシップ」、試験飛行準備中に爆発 

ビジネス

ECB、インフレ目標達成に向けあらゆる努力継続=独
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディズニー・ワールドで1日遊ぶための費用が「高すぎる」と話題に
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 6
    下品すぎる...法廷に現れた「胸元に視線集中」の過激…
  • 7
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 8
    全ての生物は「光」を放っていることが判明...死ねば…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 10
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中