最新記事
回想録

記事を3本書くだけで年俸は50万ドル...元「花形編集長」の過去語りが「ウザすぎる」

The Stars They Were

2025年5月2日(金)17時08分
ジェニー・G・チャン(スレート誌シニアエディター)
デービッド・レムニック(ニューヨーカー誌編集長)、アナ・ウィンター(ヴォーグ誌編集長)、マイケル・ブルームバーグ、バニティ・フェア誌編集長のグレイドン・カーター

(左から)デービッド・レムニック(ニューヨーカー誌編集長)、アナ・ウィンター(ヴォーグ誌編集長)、マイケル・ブルームバーグ、バニティ・フェア誌編集長のグレイドン・カーター(2013年4月) DIMITRIOS KAMBOURIS/GETTY IMAGES FOR CONDE NAST

<出張はコンコルドで超高級ホテル滞在は当たり前、元バニティ・フェア誌編集長が語る「古き良き」時代>

バニティ・フェア誌(Vanity Fair)の伝説的編集長グレイドン・カーター(Graydon Carter)が、「高級雑誌の最後の黄金時代」を振り返るうまくいっていた時代(When the Going Was Good)(未邦訳)は、基本的にはエレジー(哀歌)だ。

確かに、カナダのオンタリオ州出身で、大学は卒業していないが雑誌作りで頭角を現し、ニューヨークに出てきて、雑誌全盛時代に花形編集者として活躍したカーターの回顧録は、輝かしいサクセスストーリーともいえる。


だが、そのおどけた自慢話と、次から次へと登場する有名人の名前の背後にちらつくのは、パワーとセンスとマネーの源としてのアメリカの雑誌の死だ。

コンデ・ナストやタイム、ハーストといった出版社が発行していた高級誌は、かつて莫大な広告収入を得ていた。1980〜90年代の全盛期、バニティ・フェア(コンデ・ナスト刊)の広告料は1ページで10万ドルを超えていたという。

カーターがバニティ・フェアに入る前にいたタイム誌では、ほとんどの食事と酒は経費扱いだったと、カーターは語る。電話1本で医者を手配できたし、末端のスタッフでさえ毎週金曜日の夜は運転手付きの車で自宅まで送り届けてもらえた。

バニティ・フェアもそうだった。5つ星ホテルに超音速旅客機コンコルドでの出張、住宅ローンは無利子で、引っ越し費用も会社持ち。記者は「スター並み」の報酬と待遇を受けた。

展覧会
「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米「MSNBC」が「MS NOW」へ、コムキャスト

ビジネス

米8月住宅建設業者指数32に低下、22年12月以来

ワールド

ハマス、60日間の一時停戦案を承認 人質・囚人交換

ワールド

イスラエル、豪外交官のビザ取り消し パレスチナ国家
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する現実とMetaのルカンらが示す6つの原則【note限定公開記事】
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 6
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 7
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 8
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 9
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 10
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中