スポーツでの脳震盪が「鬱や自殺」に繋がることも...選手の脳を守る「血液検査」の可能性

TACKLE THE ISSUE AHEAD OF THE GAME

2024年12月25日(水)15時26分
ジョー・コズラウスキー、パンドラ・デワン(いずれも本誌記者)

「脳震盪の疑いがある選手を試合から外すのは、ある程度の経験があれば、そう難しくない」と、NFLの頭部・頸部・脊髄委員会の副委員長でもあるカルデナスは言う。難しいのは復帰のタイミングを見極めること。「脳の損傷が治癒し、頭部を打つ可能性がある競技に出ても大丈夫だと、どの時点で言えるかだ」

リーグによって復帰の指針は異なるが、一般的には症状が消えて、認知機能検査に合格し、少しずつ体を動かして、通常のトレーニングを再開できたことなどが条件になる。だが、こうしたマニュアルでは一概に判断できないケースもある。


「問題は、既存の検査の大半は損傷を受けてから時間がたつほど、脳震盪を起こしたかどうかが分かりにくくなることだ。そのため脳の損傷が治癒したかどうかを確実に判定できなくなる」と、カルデナスは言う。

「私たちは最善を尽くすが、脳が十分に回復し、プレーに復帰しても大丈夫だと保証することは難しい。バイオマーカーが大きな可能性を秘めているのは、そこだと思う」

シルズも同意見だ。ただし、血液検査を採用するには、この2種のバイオマーカーの有効性が十分に検証されることが条件になるという。

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