最新記事
軍艦島

TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3個分の軍艦島での「荒くれた心身を癒す」スナックに遊郭も

2024年12月24日(火)09時40分
風来堂(編集プロダクション)*PRESIDENT Onlineからの転載

端島では「高いものから売れる」、島民の購買意欲は旺盛だった

島内にも購買店や労組管轄の生協などがあり、日用品から食料品までを取り扱い、安い値段で購入ができた。しかし、生鮮野菜に関しては島内でほとんど生産されていなかったため、アキナイ(島外から搬入しての行商)から購入するしか手段がほとんどなかったという。これも、「軍艦島は高いものから売れる」と言われていた一因かもしれない。

端島の生協売店には実演販売が来ることもあった


なお、アキナイに行った行商が、島内でパンやお菓子などを高浜で待つ家族に購入していく姿も見られた。軍艦島はいわば都会であり農村の高浜にはないものが軍艦島では手に入れることができたのだ。青空市場は島民だけでなく、近隣地域に暮らす住人にも、多大な影響を与えていたのだ。

出前も仕出しもオッケー、意外に充実した食生活事情

買い物といえば、軍艦島ではテレビ、洗濯機、冷蔵庫の三種の神器だけでなく写真機も各家庭に揃っていた。そのため、子どもの運動会などではこぞって写真機を構える姿が見受けられていた。

他にもラジオや、そこまで広くない住宅にもステレオやソファを買い込むなど、お金には余裕がある生活を送っていたことがうかがえる。

軍艦島にはいくつかの飲食店が存在していた。日給社宅18号棟の1階には「厚生食堂」という食堂があった。戦前に会社の福利厚生施設として運営していたため、この名前が付けられた。

和洋中さまざまなメニューを提供し、島民に愛された食堂だった。チャンポンやうどんの他、奥にある窯ではパンが焼かれていた。特に人気だったチャンポンは現代に受け継がれ、当時の味を再現してインターネットで販売がされている。

厚生食堂では他にも豆腐を作ったり、年末には餅つきをしたりしていた。餅の配達をするアルバイトもあったといわれている。

また、島内電話を使って出前注文ができ、運動会の弁当を配達するなど島民の生活に密着していたお店だった。厚生食堂の隣の17号棟には、朝鮮人が切り盛りする「宝来亭」という中華料理屋があった。

30号棟の1階は商店街になり、そのひとつが「ニコニコ食堂」という食堂だった。1階の半分の面積を店舗が占めていて、1階の残り部分と2階に従業員が住み、3階は住居兼商店街の会合などにも使われていた。

会社の寮である菊池寮で宿泊客や会社の酒宴があった際には、そこへ会席膳を運んでいた。夜は酒場になり、客は女給さんを相手に一杯飲んだあと、島内に点在していた遊郭に流れてゆく人もいたそうだ。島で一番賑やかな場所だったという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、中東鎮静化へ活発外交 外相が欧独サウジと相次

ワールド

トランプ氏、ボンディ司法長官解任 エプスタイン疑惑

ワールド

マクロン氏、武力による海峡開放「非現実的」 イラン

ビジネス

FRB、不確実な経済に対応可能 中東戦争で見通し困
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 2
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受給年齢」
  • 3
    破産申請の理由の4割以上が「関税コスト」...トランプ関税が米国民に与える「破産」の苦しみ
  • 4
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    先進国が出生数の減少を嘆く必要はない? 「経済的…
  • 7
    日本の男女の賃金格差は世界でも突出して大きい
  • 8
    「一般市民に敵意なし」...イラン大統領が米国民宛て…
  • 9
    自国の国旗損壊を罪に問うことの深刻さを考える
  • 10
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中