最新記事
歴史

半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?

2024年12月9日(月)11時11分
磯田 道史 (歴史家) *PRESIDENT Onlineからの転載

水質が悪い下町では「水屋」で水を買った

江戸時代には、多摩川を水源とする玉川上水、井の頭池を水源とした神田上水が整備され、最盛期には6つの上水があったという。

8代将軍・徳川吉宗の頃に千川上水、青山上水、三田上水、亀有上水の4つが廃止され、江戸時代を通じて、玉川上水と神田上水の2大上水が江戸庶民の生活を支えた。


当時の水道は、木や石でつくった樋を水道管として利用し、土地の高低による自然流下式のもの。現在の東京も同じであるが、江戸市中は坂が多いため、緻密な計算を要した。

公儀6000両から7500両もかけて竣工されたという玉川上水は、羽村から四ツ谷大木戸までを多摩川から地表に水路を通した開渠で流し、江戸市中には、暗渠で給水していた。四ツ谷大木戸には、水質や水量を管理する水番屋が置かれていたという。

江戸庶民たちはこの水道の汲み出し口となる井戸を利用していたが、本所・深川などの下町では、上水が隅田川を越えられず、「埋め立て」という土地の問題で水質も悪い場合が多く、飲料水に向かなかったという。

そのため、飲料用の水を売って歩いた「水屋」が江戸では成立する商売だった。水屋では1荷、すなわち天秤棒の前後の桶2つ分を、4文ほどで売ったという。現代の価格で63円ほど。あまり実入りの多い商売とは言えなかったようだ。

お風呂好きの江戸っ子で湯屋は大繁盛

江戸時代、長屋はもちろん、普通の民家にも内風呂はなく、庶民は湯屋に通った。何度も大火に襲われたため、火元となることを恐れたのが理由だった。

19世紀初め、江戸には湯屋が500軒以上あった。江戸っ子は毎日湯屋に通うほどの風呂好きだったのだ。入浴料は幕府によって公定価格が決められた。文政9(1826)年は大人6文、約95円だった。

江戸前期はサウナのような蒸し風呂が多く、現在のような浴槽に湯を張ったのは、後期である。また、もともとは男女混浴だったが、寛政の改革で風紀が乱れるとして禁止された。

湯屋に入ると、まず番台で、お金を払う。脱衣所、洗い場と続きその先に石榴口と呼ばれる入り口がある。腰をかがめなければならないほど低く作って、熱気を逃さないようにした。その奥が浴槽だ。

洗い場には三助という奉公人がいて、客の体を洗っていた。初期には湯女という女性が行っていたが、こちらも風紀上の問題から男性となった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国が秘密裏に核実験、米国が非難 新たな軍備管理合

ビジネス

ユーロ高、政治的意図でドルが弱いため=オーストリア

ビジネス

英シェル、カザフ新規投資を一時停止へ 政府との係争

ビジネス

ECB、インフレ下振れリスク懸念 ユーロ高を警戒
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 2
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 5
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 8
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 9
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 10
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中