最新記事
大谷の真実

「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の言葉を信じたのか? 現地記者たちが語った本音とは

DOES THE MEDIA BELIEVE OHTANI?

2024年4月2日(火)16時00分
小暮聡子(本誌記者)

3月25日の大谷の会見には各国の報道陣約100人が詰めかけ、水原の代わりにウィル・アイアトンが通訳を務めた REUTERS VIDEO

<「あんなふうに、怒る一歩手前でノーマルじゃないな、という雰囲気の大谷は初めて見た」......現地記者たちが語る大谷会見のリアル(4/2発売の本誌『アメリカが見た 大谷の真実』特集号より)>

ドジャースの大谷翔平選手は3月25日(日本時間26日)、水原一平元通訳の違法スポーツ賭博をめぐる問題について会見を行った。この会見を、現地の記者たちはどう受け止めたのか。MLB(米大リーグ)取材歴18年で、ロサンゼルスを拠点にエンゼルス時代から大谷を取材してきた青池奈津子に27日(日本時間)、本誌・小暮聡子が聞いた。

◇ ◇ ◇


──25日の会見は、誰が呼びかけをして、どういう形で行われたのか。

エンゼルス時代には大谷選手に直接話しかけないようにと球団広報から言われていたため、特に日本メディアはなんとなく遠慮しているところがあるのだが、ドジャースに移籍後は少しずつ話しかけてみる人が出てきていた。今回は、韓国からロサンゼルスに帰ってきた日のクラブハウスで、アメリカ人記者2人が「いつ話をするのか?」と大谷選手に声をかけた。もともと取材用にクラブハウスが開放されている50分の間には大谷選手は戻ってこないと言われていたのが、何かを取りに来た様子で、米記者2人の問いかけに一瞬戸惑いながらも小さい声で「トゥモロー」と返答した。

大谷選手に話しかけた記者にその時の表情を聞いたところ、「話しかけられると思っていなかったようで、少し驚いた様子だった」と言っていた。周りで聞いていた記者たちも、そのやりとりに少し驚きながらも、ついにその時が来たと言わんばかりに「明日大谷が話す」とX(旧ツイッター)などで発信し始めた。

会見当日の朝にはドジャースの広報からメールが来て、「大谷は今日は質問は受け付けない、声明だけ出します」と。会見場には普段見かけないような記者まで大挙していた。アメリカのある経済紙の記者まで、「今これ以上に追うべきネタはない」と、大谷選手が話すまでいるつもりでニューヨークからこのネタを探りに飛んで来ていた。みんな、何が出てくるのか分からない、という心境で会見に臨んだ。

──質問を受け付けない形式についてアメリカの記者の反応は?

アメリカの記者たちに「質問できたら何を聞きたかった?」と聞いて回ったのだが、「それなりに大谷は答えた」「思った以上に答えた」という声を多く聞いた。気になっていた疑問に答える形で声明が準備されていた、ギャンブルは自分はやっていない、全く知らなかった、という話など。ただ、記者たちの声の約90%は、大谷選手が言っていることが本当なら水原さんはどうやって銀行口座にアクセスできたのか、そこがやっぱり気になった、という点に集約されていた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など

ワールド

アングル:失言や違法捜査、米司法省でミス連鎖 トラ

ワールド

アングル:反攻強めるミャンマー国軍、徴兵制やドロー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 5
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 8
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中