最新記事

セレブ

暴言に「残酷映像」...カニエ&キムの「三角関係」騒動は、実は笑えないほど深刻

The Darkest Love Triangle

2022年3月31日(木)17時15分
アレグラ・フランク

確かに、ウェストの前妻とその新恋人に対する攻撃には、メンタルヘルスの問題が影響している。彼の症状が深刻化したのは、16年のツアー中に精神科救急に運び込まれた頃からとされる。19年には、その入院が自分の意思に反していたことや、過去3年間薬物療法を続けていることを語っている。

それ以来、ウェストが何か問題を起こすと、「ちゃんと薬を飲んでいないに違いない」で片付けられるようになった。このように、「いじめっこ」にはメンタルヘルスの問題がいいように利用される一方で、被害者であるデビッドソンやカーダシアンの精神状態はほぼ無視されてきた。

だが、この三角関係で誰よりも擁護される資格があるのは、シングルマザーとして4人の子供を育てているカーダシアンだ。新しい恋人ができるたびに、前夫に公然と虐待に近い口撃を受けるのではたまらない(しかもウェスト自身は既に複数のガールフレンドが浮上してきた)。

どうにかカーダシアンとよりを戻したいウェストにとって、それはつらいことかもしれないが、過去を整理して前に進みたいカーダシアンにとっても嫌がらせはつらい。

ウェストが公開した度を越えた残酷MV

3月2日、裁判所がカーダシアンを「法的に単身者である」と宣言したことが報じられた。カーダシアンとデビッドソンとの関係が報じられた直後の昨年11月、離婚裁判が決着していない以上、カーダシアンは法的には「まだオレの妻だ」とウェストが公言したことを受け、翌月にカーダシアンが裁判所に宣言を申し立てていた(財産分与などの詳細を詰めるために、離婚手続きそのものは続いている)。

その数時間後、ウェストは自らが参加したザ・ゲームのシングル「イージー」のミュージックビデオ(MV)を公開した。1月に曲が発表されたときは、「神はこの打撃からオレを救ってくれた/ピート・デビッドソンのケツをぶったたけるように」という嫉妬全開の歌詞が注目を集めた。

MVは全編白黒で、クレイアニメ(粘土を使ったストップモーションアニメ)を使った不気味なもの。この中で明らかにウェストとおぼしき人物が、デビッドソンとおぼしき人物を泥が詰まった棺桶に生き埋めにする。

デビッドソンの頭は泥から突き出しているが、ゾッとする映像であることに変わりはない。そこに「そしてみんな末長く幸せに暮らしましたとさ」という文字が映し出される。さらに最後に、「冗談だって。あいつは大丈夫さ」と。

このMVが、猛烈な批判を浴びたのは言うまでもない。こうした行為は、独占欲が強くて虐待癖がある人間が、誰かとの関係を操るために取る戦術であり、そのパートナーがずるずると関係を続けてしまったり、トラウマを抱えたりする原因となる。

加害者と被害者の両方が有名人だからといって、この事実は変わらない。問題の解決は容易ではないが、メンタルヘルスを理由に暴挙を放置し続ければ、悲劇的な結果がもたらされる可能性は十分あることを忘れてはならない。

©2022 The Slate Group

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

対イラン米攻撃の「合法性なし」と仏大統領、政権交代

ワールド

イラン、カタールの米空軍基地をミサイル攻撃 イラク

ワールド

米、カタールの米空軍基地への脅威を厳重監視=ホワイ

ワールド

ホルムズ海峡でタンカー航路変更相次ぐ 封鎖や米攻撃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 8
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    【クイズ】次のうち、中国の資金援助を受けていない…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 9
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 10
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中