最新記事

ジョンのレガシー

ジョン・レノンが暗殺の直前に語った家族と反戦とビートルズ【没後40周年特集より】

2020年12月23日(水)11時00分
本誌米国版編集部

このインタビューで「2人は互 いにスピリチュアルなメン ターだ」と語った PENNY TWEEDIEーCORBIS/GETTY IMAGES

<「イクメン」ジョンが音楽活動再開後に単独インタビューで語った赤裸々な自分自身>

ビートルズの解散から9年間、ジョン・レノンには波乱の日々が続いた。アメリカの永住権取得をめぐって移民局と4年間闘い、妻のオノ・ヨーコと18カ月の別居をし、息子のショーンが生まれた。そして1975年からは公の場から姿を消した。

しかし40歳の誕生日を前に、新アルバムを引っ提げて戻ってきた。『ダブル・ファンタジー』と題された新作は、さながら「ある結婚の風景」の物語で全14曲から成る。ジョンが7曲、ヨーコが7曲を担当した。作風は、ジョンによる乗りのいい「スターティング・オーヴァー」からヨーコのゴスペル的な「ハード・タイムス・アー・オーヴァー」、夢想的な「ビューティフル・ボーイ」、攻撃的な「キス・キス・キス」まで幅広い。実に自然で、広い層に受け入れられそうだ。

数年前、この夫婦は役割を交代した。ジョンは家事と育児を受け持つ「主夫」となり、今はヨーコがビジネス面を担当している。彼らが所有する不動産は広範囲に及ぶ。マンハッタンのダコタハウスに5つの部屋を持ち、フロリダのパームビーチの邸宅からニューヨーク郊外の山荘、それに4つの酪農場のオーナーだ。

先ごろ本誌米国版のバーバラ・グラウタークはジョンとヨーコのインタビューに成功した。細い体をリーバイスと普段着のシャツに包み、フランスたばこをふかし、寿司をつまみながら、ジョンは自分自身について大いに語った。

20201215issue_cover200.jpg


――1975年に公の場から姿を消したのはなぜ? 音楽を作るのが嫌になった、あるいは音楽ビジネスが嫌になった?

ジョン その両方だ。僕は22歳のときから契約に縛られてきた。金曜日までに何曲書かなくてはならないとか、土曜日までにシングルを出さないといけないとか、いつも追われていた。自由が欲しくてアーティストになったのに......学校のクラスにも会社のオフィスにもなじめない変わり者にとって自由はプラスにしか働かない。でも気が付けばレコード会社に対する義務、マスコミやファンに対する義務に縛られていた。全然自由じゃなかった! 僕は何度も姿を消した。取るに足らないパフォーマーの顔だけじゃなく、修道士的な一面もあるからね! 音楽ビジネスで恐れているのは、(当時人気だったポップアーティストの)アンディ・ウォーホルと一緒に(当時ニューヨークで有名だったディスコクラブの)ゼノンに行かなければ「消されて」しまうってこと。だけど、ビルボード誌の購読をやめたって死ぬことはないと悟った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、米国による船舶拿捕は「重大な国際法違反」

ビジネス

中国万科、債権者が社債の返済猶予延長を承認=関係筋

ワールド

トランプ氏、グリーンランド特使にルイジアナ州知事を

ビジネス

英GDP、第3四半期は前期比+0.1%に鈍化
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 8
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 9
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中