最新記事

韓国

「TWICEサナに手を出すな!」 日本人排斥が押し寄せる韓国でベテラン俳優が問題提起

2019年8月22日(木)18時27分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

ベテラン俳優が排斥論に異論

日本製品ボイコットから飛び火した日本国籍芸能人排斥問題だが、一方では国籍だけで排斥するのはおかしいという反対の声も数多く上がっている。アイドルなどはファン達が中心となって応援するグループのメンバーを守る動きや、ネット上では賛成派と反対派が論議しているのを見かけるようになった。ベテラン俳優のキム・ウィソンは、自身のフェイスブックを通し、「安倍(総理)が暴れているだけで、なぜ(TWICEの)サナが排斥されなきゃいけないのか?」と発言し、「とにかくサナには手を出すな!」と付け加えた。この発言はニュースにもなり、現在4500以上の人が「イイね」ボタンを押して賛同している。

newsweek_20190822_182539.jpg

キム・ウィソンのfacebook投稿よりキャプチャ。コメントとして「とにかくサナには手を出すな!」と投稿している。


現在、韓国ではたくさんの日本人国籍芸能人が活躍している。冒頭で挙げたRocket Punchの高橋朱里やTWICEのサナ・ミナ・モモ。IZ*ONEの宮脇咲良・矢吹奈子・本田仁美。他にもNCTのユウタ、PENTAGONのユウト、ONFのU(水口裕斗)、JBJ95の高田健太、Cherry Bulletのココロ・レミ・メイ、公園少女(GWSN)のミヤ、Natureのハル、Real Girls Projectのユキカなどなど。さらに、デビュー前の練習生を入れると数えきれないほどの日本人が玄界灘を越え韓国に渡っている。

「日本人」というだけで特別視されるわけでなく、逆に今回のように政治問題に巻き込まれ、韓国国民から反感を買うリスクがあるかもしれないなか、実力ある韓国人練習生と競争してデビューを勝ち取るには相当の努力が必要だろう。彼らが大きな夢だけを糧に、自分だけを信じ、未知の世界である芸能界、しかも他国である韓国に乗り込むときの勇気は、どれほどのものか。

筆者自身もかつて、韓国へと単身で渡った者として、彼らの勇気は大切にしてやりたいと思う。ボイコットするなら個人でやるのは自由だが、周囲を巻き込んだりネットで批判するなど止めてもらいたい。そんなことのために、何年も努力を積み重ねてきた彼らを振り回すのは許されない行為だ。



20190827issue_cover200.jpg
※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年2月以来の低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 5

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中