最新記事

パックンのお笑い国際情勢入門

日本人は「政治に興味ない」「専門的に生きている」──外国人のお笑い座談会より

NOT STANDUP, SIT DOWN COMEDY CHAT

2019年8月6日(火)09時45分
ニューズウィーク日本版編集部

「日本人はすぐに笑う」「『ボビーと思います』だけでウケる」

ナジーブ 日本だと、普通に起こることで日本人は笑っちゃう。例えば「雨に濡れた」、これだけで笑う。

パックン 最初、周さんに日本に来て予想と違ったことは何ですかと聞いたら、いきなりディープな話に行っちゃったんだけど、僕自身はこういうところに最初驚いたんですよ。日本人はすぐに笑う。大して面白いこと言ってないのに笑う。

ナジーブ そうそう。「転んだ」ワッハッハ、みたいに。

パックン 「久しぶりだねぇ」「そうだよねー」ハッハッハ。全然面白くねえよ!

ナジーブ シチュエーションで笑うのか、物語で笑うのか。よく分からないけど、日本人はシチュエーションで笑うのだと思う。私が話す物語性のあるジョークで笑ってほしいのに、笑ってくれない。

パックン 日本人はジョークに構えるんですよ。「ジョークです」と言うと、さぞ面白いこと言うんだろうな、みたいな。ハードルがぐんと上がる。日本のテレビも、ほとんど即興なんです。その場で生まれる笑い。

チャド もしくは、作り話だと面白くないけど、一人称でしゃべるのはいい。

パックン そう、すべらない話。面白い実体験としてしゃべるといい。でもとにかく(日本人は)よく笑ってるんですよ。

ナジーブ 私の中では1つのセオリーがあって、日本人はすごくしっかりしている。常に完璧な形があり、それがちょっと崩れると笑える。だから、転んだとか雨に濡れたとか、それだけで面白くなるんじゃないか。

パックン みんながしっかりしているから、ちょっとしたずれが笑いになる。われわれ外国人のお笑い芸人、タレントがたぶんすぐに気が付くのは、日本の常識がすごく......。

チャド 狭いんですね、共通している常識が。

パックン そうそう。常識が決まってるわけ。アメリカだと非常識も含めて常識というか。

チャド 文化も宗教も、いろいろあるから。

パックン だから、英語を間違えたって大して笑えない。

チャド 「ボビーと思います」とかね。日本だとこれだけでウケる。「ボビーと申します」じゃなくて「思います」。

パックン ボビー(・オロゴン)さんがね。お約束のネタがあるじゃないですか。(林家)三平師匠も僕を題材にネタにしてるんですけど、「ご愁傷様です」を「ご馳走様です」と間違えたりとか。

ほかにも、社長にタメ口で話すだけで笑いになる。「社長、元気か」「平社員の口調じゃねぇよ」ってね。これだけで笑える。常識をちょっと逸脱するだけで笑えるのが日本の特徴かな。アメリカだと常識が広過ぎるから、もっと極端なことをやらないと笑えない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ネタニヤフ氏、イラン核問題巡りトランプ氏と協議へ 

ワールド

トランプ氏、グリーンランド特使にルイジアナ州知事を

ワールド

ロ、米のカリブ海での行動に懸念表明 ベネズエラ外相

ワールド

ベネズエラ原油輸出減速か、米のタンカー拿捕受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中