最新記事

映画

ネット時代に生き残りかける映画館 料金細分化の韓国と格安定額制のアメリカ

2018年5月2日(水)18時26分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)


映画料金の値上げを消費者団体が告発!

今回の3社の値上げ発表後、すぐに反対運動に動き出したのが韓国消費者団体協議会をはじめとする11の団体だった。13日には記者会見を開き値上げ反対を訴えた。その後、23日には3社が一斉に値段を上げたことに対し、公正取引委員会に告発。「韓国国内の映画館全体の97%を占める3社は事実上寡占構造である。他に安く良い商品を探すことのできるほかの品目とは違い、映画は観客が選択できない状態。マルチプレックス3社はより良いサービスを行うため競争しなくてはならないのにも関わらず、不当な共同行為を行っている」と訴えた。

しかし、映画1本の入場料が1万ウォン(=1,020円前後)だったら、日本の一般的な価格1,800円と比べて韓国の料金は安く感じるかもしれない。また、韓国ではよほど特別なとき以外、劇場で上映作品のグッズ販売は行っておらず、映画館で買えるものと言えば食べ物と飲み物ぐらいである。観客向けのパンフレットももちろん制作されておらず、マスコミ向けのプレスシートが日本でいうパンフレットとよく似ているが一般に出回ることは少ない。

そのせいか、ポップコーンや飲み物の充実度が高い映画館が多い。また、CGVは財閥のCJグループの傘下なので、映画館と一緒にCJ系列のカフェやレストランが併設されているところも多い。韓国人の知人が日本の映画館でのグッズの充実度やパンフレットに700円や800円も出して購入しているのを見て驚いたと言っていたのもうなずける。韓国の映画館では劇場に入ってからお金を落とすのは飲食だけなのだ。

割引きが充実しているアメリカ

では、アメリカの映画料金はどうなっているだろう。こちらはシネマコンプレックスのチェーンではある程度統一されているが、とはいえ千差万別である。ある映画館は安い料金で提供している代わりに音響やスクリーンの設備は古かったり、その反対に最新式の設備を導入しているところは10〜15ドルを超える料金だったり。

映画館の場所によっても料金が微妙に違っている。早朝割引や平日の曜日割引、さらに正午までならいくらといった細かい割引も多い。また、ミリタリー割引というものもある。こちらは現役だけでなく退役軍人にも適応される。軍人に敬意を持っているアメリカらしい割引である。徴兵制のある韓国でもたまに軍人割引を行っている映画館もあるが、特定の日のみだったり基地に近い街など一部のみのようだ。

日本では、レディースデーや映画の日に割引が行われているようだが、逆に一時的に値上げされたこともあった。2015年末に日本公開された「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」は、TOHOシネマズが一部の劇場で通常より200円高い2,000円で上映し話題となった。世界的に見ても高い入場料であるのに、これ以上の値上げは勘弁してほしいものだ。

韓国でも値上げのタイミングは、常に話題の大作と共に行われている。今回の1,000ウォン値上げについても「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」公開のタイミングに合わせて行われたという声がネットに上がっていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中銀の独立性、インフレ抑制に「極めて重要」=米シカ

ワールド

ロシア、欧州向けガス輸出停止の可能性を近く協議=副

ワールド

ブラジル貿易収支、2月は42億ドルの黒字 予想と一

ワールド

イスラエル、ベイルート南部郊外の住民に退避指示 大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    「え、履いてない?」モルディブ行きの飛行機で撮影された、パイロットの「まさかの姿」にSNS爆笑
  • 3
    「ハリポタ俳優で終わりたくない」...ハリー・メリングが新作『ピリオン』で見せた「別人級」の変身
  • 4
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 5
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 6
    対イラン攻撃に巻き込まれ、湾岸諸国が存立危機
  • 7
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 8
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「旅客数が多い空港」ランキン…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中