最新記事

インタビュー

「ヒュッゲ」ブームの火付け役が日本人に伝えたい幸せのコツ

2017年10月20日(金)13時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

ラッセルによれば、仕事にプライベートは持ち込まず、またプライベートにも絶対仕事を持ち込まないデンマーク人の頑固さには見習うべきところがある。アメリカとイギリスでの調査によると、仕事中に約3割の人がSNSをチェックしたり、私用メールをしたりしていることが分かっている。このように、長時間労働の中には実はかなりの割合で「プライベート」が紛れ込んでいることについて、私たちはもっと自覚的になるべきだとラッセルは指摘する。

【参考記事】欧米でブームの「ヒュッゲ」で日本人も幸せになれる?

ブラジルでもヒュッゲが求められる理由

現在、ラッセルの著書は世界20カ国で翻訳が進んでいる。「これほど世界中で反響があるとは思いませんでした」と、ラッセル自身が驚く。

「自分の本の翻訳者に直接会ったのは、デンマーク語版以外では今回の日本語版が初めてなのですが、ブラジル(ポルトガル語)版の翻訳者も素敵な方です。でも、どうしてブラジルでヒュッゲが求められるのかと最初は驚きました。ブラジル人にこそ仕事と休暇のバランスについて教えてもらいたいと普通は思いますよね。実際には情報化とグローバル化によるスピードの波で、世界中の誰もが過重労働状態におかれ、疲弊しているのです。だからこそ、世界一幸福と言われるデンマーク人のワーク・ライフ・バランスに関心が集まり、本書が注目されたのだと思います」

改めてラッセルにとって「デンマークとは何か」と尋ねると、彼女はこう答えた。自分が幸せになれる場所であり、無理なくキャリアを追い求めることができる場所であり、家族がいる場所だと。


『幸せってなんだっけ?――世界一幸福な国での「ヒュッゲ」な1年』
 ヘレン・ラッセル 著
 鳴海深雪 訳
 CCCメディアハウス



【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政権、コロンビアやベネズエラを麻薬対策失敗国に指

ワールド

政治の不安定が成長下押し、仏中銀 来年以降の成長予

ワールド

EXCLUSIVE-前セントルイス連銀総裁、FRB

ビジネス

米政権、デルタとアエロメヒコに業務提携解消を命令
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中