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主婦のひと言から生まれたベビーキャリア

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2016年4月29日(金)07時41分

 しかし、松本さんの場合は間違った装着方法をしていたわけではなかった。開発を担当したベビービョルン株式会社の深井誠社長がこう語る。

 「ベビーキャリアを正しく装着してもらい、実際に赤ちゃんを抱っこしているところを撮影させてもらったところ、私たちが想定しているよりも赤ちゃんの位置がどうも低い。その原因は何だろうと思い、検証していくことにしました」

 具体的には松本さんの感想や意見をまとめて、スウェーデンの本社に提出。その後、松本さんが感じる不具合を解決するためのサンプルが本社から届き、数週間から1カ月ほど松本さんに使ってもらう。これを4~5回ほど繰り返し、グローバルモデルの"ベビーキャリア One"を、日本人の体形に合わせて改良した"ベビーキャリア One+"が2015年10月に発売された。

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松本さんの意見が反映され完成した"ベビーキャリア One+"

日本人ならではの意見を取り入れて改善を図る

 "ベビーキャリア One+"は実際にどのように改良されたのだろうか。
 「正しい位置でウエストベルトを装着しているにも関わらず、赤ちゃんの位置が低いということは、赤ちゃんを包み込むフロントピース部分が下がっているということ。つまり、この部分がだぶついていたわけです」と、深井社長が解説する。

 つまり、松本さんが小柄だったためサイズがジャストではなかったのだという。この問題についてはショルダーベルトを短くすることで解決を図ったが、ほかにも細かい部分に改良が施された。

 「人間は体の前で赤ちゃんを抱えると、自分の重心で支えようとします。その重心はどこかというと、ちょうどおへその下くらい。この重心の近くで赤ちゃんを支えるのが最も楽なのです。高すぎても低すぎてもだめ。私たちは、ちょうどいい高さになるように追求しました」と、深井社長。

 また、通常ウエストベルトの内側は抱っこする状態からおんぶする状態へベビーキャリアを回しやすくするために、すべりやすい素材を使っている。しかし、"ベビーキャリア One+"では、フィット感を得るためにややすべりにくい素材へ変更し、グリップとすべりやすさを両立させた。

 「ショルダーパッドもクッションの効いた厚手のものへと改良され、肩の痛みがなくなりました。以前のものだと赤ちゃんの位置が下がっていくことで重さを感じていたのですが、改良した"ベビーキャリア One+"だと、軽くて、装着も楽だし、赤ちゃんの位置も下がらない。毎日のように装着するものなので、快適につけるようになったのはとても嬉しいです」と、松本さんの悩みはすべて解消された。

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ショルダーベルトを短くすることで改善が図られた

日本での新たな挑戦が世界市場をリード

 世界各国で展開しているベビービョルンだが、どの国でも共通のグローバルモデルを販売。"ベビーキャリア One+"のように、日本人の体形に合わせて開発されたローカライズは初めてなのだという。

 「世界の中でも日本のユーザーが最も細かい点にまでこだわるといわれます。しかし、改善をすることで日本での売り上げは伸びていていますし、日本で要求される品質へ向上させていくと、ほかの国でも必ず売り上げが伸びています」と、深井社長は"ベビーキャリア One+"での取り組みが大きな成果を上げていることに胸を張る。

 現在は、体格のいいお父さんがベビーキャリアを装着しにくいという声を集め、大柄なユーザーにも対応できる商品を開発する予定とのこと。日本からの発信が世界にも影響を与える、そんな事例がこれからはもっと増えていくに違いない。

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品質に対する日本人の厳しい目が改善の原動力になっている


◯問合せ先
ベビービョルン株式会社 
〒101-0047
東京都千代田区内神田1-15-7AUSPICE内神田2F
TEL03-3518-9980
http://www.babybjorn.jp/

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