最新記事

俳優

異常なカンバーバッチ、自らを語る

美しく冷酷なテロリストを好演したカンバーバッチの素顔と撮影裏話

2013年8月30日(金)15時52分

異常さが魅力 今後もハリウッドでの活躍が続くカンバーバッチ ©2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 ネット上で、自称「カンバービッチーズ」という熱烈なファンを持つベネディクト・カンバーバッチ(36)。BBCのドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』のシャーロック・ホームズ役で注目されたイギリス人俳優だ。『スター・トレック イントゥ・ダークネス』では謎のテロリスト、ジョン・ハリソン役が大いに称賛された。

 今後も、ハリウッドではカンバーバッチ旋風が続きそうだ。『ホビット スマウグの荒らし場』で邪竜ネクロマンサーを、『ザ・フィフス・エステート』でウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジを演じるほか、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツなどとの共演作も続く。乗りに乗っている彼に、本誌マーロウ・スターンが話を聞いた。

――テレビ版『スター・トレック』のファンだった?

 エイブラムズの映画版『スタートレック』(09年)を見て、オリジナルが懐かしくなった。

 子供の頃は『スター・ウォーズ』派だった。ハン・ソロになりたくて。でも09年の映画で登場人物に親近感を覚え、『スター・トレック』への愛を自覚した。あの作品には人間性と寛容を尊ぶ美しいメッセージがある。

『スター・トレック』
 

――今回は激しい格闘シーンがあるが、どんなトレーニングをしたのか。

 たっぷりやったよ! この手の役は初めてで、体重を増やさなくちゃと思ったから1日4000キロカロリーの食事を2、3週間続けた。あとはとにかく、ずっとトレーニング。武道と欧米の格闘技を混ぜたハリウッド風カンフーだ。ワイヤを使って跳躍し、ガラスを破る技には僕の中の10歳の少年が大喜びした。

――撮影中、いたずらに引っ掛かったとか。

 完璧にやられたよ。ローレンス・リバモア国立研究所にいたときのことで、その施設では水素原子の核融合でエネルギーを発生させる研究が行われていた。そういう特殊な場所だったから、僕も言われたことは何でも信じるような感じだった。

 共演のクリス・パインとサイモン・ペッグがひどくてさ。肌に損傷を与える放射性中性子が付かないように「中性子クリーム」を塗る必要がある、中性子を振り落とすために「中性子振り」の動作をしなくちゃいけないって言うんだ。僕はしばらくそれを信じ込んでいて、大嘘だと気付いたときはクルー全員が腹を抱えて笑ってた。

――チベットの寺院で英語を教えたことがあるとか。

 瞑想とか、あの時の経験から学んだことは多い。それは今も仕事に役立っているし、集中力を高めてくれる。

 人生において僕はいつも、素晴らしい瞬間を探し求めている。飛行機から飛び降りたり、スキューバダイビングをするといったむちゃな行動もそうだし、忙しいなかでゆっくりワインを飲んだり、友人と静かな時を過ごすといったことでもいい。人生にはごく普通のことも、異常なこともあってほしい。

――異常なほど熱烈なファン、カンバービッチーズのことは?

 とてもひたむきで、素敵な人たちだよ。僕は誇りに思う。ただ、あまり深く関わらないようにはしている。ネット空間は俳優にとって、ミラーハウスみたいなもの。とても面白いところもあるが、不気味だったり、ちょっと不愉快なところもある。

――エイブラムズが監督する『スター・ウォーズ エピソード7』に出演したいとねじ込むつもりは?

 今回みたいに、iPhoneで撮ったオーディション映像を彼に送るよ。ライトセーバーをやりたいと彼には言ってある。ライトセーバー役で出られなかったら、すごく悔しい。

[2013年8月27日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総

ワールド

トランプ氏、マムダニ次期NY市長と初会談 「多くの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中