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ライバルはメリル・ストリープ?

古巣ブロードウェイに帰ってきたスーザン・サランドンが語る舞台復帰の理由と、何かと引き合いに出されるあの大女優について

2009年4月22日(水)17時12分

熟女パワー 幅広く確かな演技力とリベラルな政治発言で知られるサランドン Phil McCarten-Reuters

『ロッキー・ホラー・ショー』ではやせっぽちでうぶなジャネット、『さよならゲーム』では野球選手を誘惑する熟女アニー、『テルマ&ルイーズ』では銃を振り回すタフなルイーズ。

 数々の代表作をもつ女優、スーザン・サランドン(62)の名を聞いたことのない人は少ないだろう。『デッドマン・ウォーキング』ではオスカーを獲得、見事な演技力のみならず、公私のパートナーであるティム・ロビンスともども左寄りのリベラルな政治発言で名高い。

 そんなサランドンが、フランスの劇作家ユジェーヌ・イヨネスコの不条理劇『瀕死の王』で、久しぶりにブロードウェイに帰ってきた。共演は同じく演技派のジェフリー・ラッシュだ。
 
 本誌ニッキー・ゴスティンがサランドンに息子との関係や同年代の大女優メリル・ストリープなどについて話を聞いた。
       
――調子はいかがですか。

 風邪を引いてるの。劇場の埃に鼻をやられたんだと思う。この間なんて舞台でせきが止まらなくなって、水を飲みに引っ込んだのよ。

――風邪で降板することになって、(昨年末に)『スピード・ザ・プラウ』を降りたジェレミー・ピベンみたいに水銀中毒だと騒がれるんじゃない?

 ジェレミー・ピベンが使った楽屋を使ってるの。でもマーロン・ブランドの楽屋だと思うことにしている(ブランドの『欲望という名の電車』は同じエセル・バリモア劇場で上演された)。

――ブロードウェイは72年ぶり?
 
 150年は経ってる。

――なぜ今さら舞台を? お金に困っているとか?

(笑いながら)ジェフリー(・ラッシュ)が台本に添えて手紙をくれたんだけど、これがおかしくて。それに『瀕死の王』は見たことがないから、先達の亡霊と戦う必要がなかった。

 下の息子ももう16歳で、週末をママと過ごす年じゃなくなった。人生の新しいステージが幕を開けようとしているところで、新しいことにチャレンジしたかったのよ。

――舞台は忙しくて大変では?

 初日まではね。朝から晩まで劇場にカン詰め。あれはキツかった。劇場って空気が悪いのよ。それに大真面目に打ち込んだものだから、ストレスでボロボロ! 

 でも公演が始まってしまえば昼のリハーサルもない。みんなで楽しんでやれそうよ。

――惰性でOKってこと?

 惰性じゃないわよ。芝居を掘り下げ、自分のものにするの。

――今まではお子さんの習い事の送り迎えで忙しかった?

 2年前に(カナダの)モントリオールで撮影していたときなんて、朝7時に息子のアイスホッケーの試合を見るために車を飛ばしてニューヨークに帰った。今はうちの子、卓球に夢中だから、5月末に卓球クラブをオープンすることにしたの。名前は「スピン・ニューヨーク」で、卓球台は16台。夜はバーになるのよ。

――お店に行けばあなたと勝負できるってこと?

 そろそろ練習しないとね。店の噂を聞いた人に、町で「やっつけに行きますよ」なんて言われる。気合いを入れないと。

――政治的な活動が俳優としてのキャリアにマイナスに働いていると思う?

 それって火事で燃えさかる建物から逃げ出すときに、スリップのひもが見えないかどうか気にするようなものじゃないかしら。するべきことをするまでよ。良くも悪くも、ハリウッドは政治に関心が薄いし。

――メリル・ストリープが引退したら、仕事のオファーが増えるのでは?

 キャリアには波がある。私が断った役をメリルがやったこともある。仕事は十分にあるはず。厳しい業界だから、女同士でいがみ合ってなどいられないわよ。

――あなたが断ってメリルが引き受けた仕事って?

 やあね、そんなこと教えるわけないでしょ!

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