最新記事

海外ドラマ

ブログ世代のガールズライフ

2009年4月7日(火)16時36分
ラミン・セトゥデ(エンターテインメント担当)

自分をさらけ出す主人公

 06年にMTVで放映がスタートして以来、『ヒルズ』は社会現象になった。若くて魅力的なブロンド女性が、バブリーな快楽の都ロサンゼルスでどんな生活を送っているかをのぞけるのが人気の秘密だ(パラマウント ジャパンよりシーズン3のDVDが5月22日に発売)。

 コンラッド自身はこのドラマを、シナリオのない『セックス・アンド・ザ・シティ』に例える。『ヒルズ』の舞台はニューヨークではなくロサンゼルスで、大胆なセックスシーンはないけれど、目にするもののほとんどすべてが本物というのが大きな魅力だ。

 このドラマのコアの視聴者は、不特定多数に私生活を公開することをためらわないブログ世代。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で自分のことを語る行為の延長線上にあるドラマとも言える。

 大人には理解できないかもしれない。視聴者の大半は高校生か、高校生の子をもつ親だ。批評家も混乱ぎみで、ただの娯楽作品を難解な芸術作品のように扱っている。「視聴者の心をもてあそび、忠誠心を試すが、そうやって翻弄されることを視聴者は喜んでいる」と、ニューヨーク・タイムズのジーニア・ベラファンテは評している。

「やらせ」ではないかと疑う声もあるが、本誌の取材でコンラッドはきっぱり否定した。「撮影の仕方や大幅な編集のおかげで、シナリオがあるように見えるだけ」。ただし制作側の要請で、間を取ってゆっくり話すように指示されているらしい。

 毎回山あり谷ありのストーリーを見れば、やらせを疑いたくなるのも無理はない。シーズン1では、ローレンはジェーソンとけんかばかりしていた。最終回にやっと2人が別れたときは、視聴者はわが事のようにホッとした。

 だが次は、ローレンの親友ハイディ・モンタグが自慢話の大好きなブロンド男のスペンサー・プラットとつき合いはじめる。ハイディの女友達に片っ端から手を出し、自分がいかにクールかを語るスペンサー。視聴者は彼に怒りを燃やし、そのダメ男ぶりにあきれながらも画面から目が離せない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 5
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 6
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 7
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 8
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 9
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中