最新記事
BOOKS

【影響力を上げる】「個人の想い」で「社会」を動かした、本物のインフルエンス戦略とは?

2025年3月6日(木)11時31分
河村正剛

施設で浮き彫りになっている課題は次のようなものでした。

◎ 虐待や育児放棄による入所者の増加
◎ 児童養護施設に対する社会の誤解(「問題児の収容施設」といった偏見がある)
◎ 社会的養護の実態についての認知度の低さ

施設長の言葉が、私の中の何かを変えました。

「児童養護施設は悪いことをした子どもたちが集められている場所」といった誤解が世間には根強くあるのか......。身寄りがないせいで悪さをするのではないかと警戒されていた、かつての自分を思い出しました。この現実を何とかしなければ......。

「しかしですよ、そうは言っても河村さん。何か考えはありますか? 社会に現状を知ってもらうのは簡単ではありませんよ」

施設長の問いかけに、私はある計画をあたため始めました。

そうだ、クリスマスにランドセルを届けよう

2010年12月18日、クリスマスの1週間前でした。東京から群馬に戻った私は、まっすぐ県内の百貨店に向かいました。目的地はランドセル売り場です。店員さんに告げました。

「10個ください」

この一言が、後の大きなうねりの始まりとなりました。店員さんだけでなく、周りのお客さんたちも一斉に振り向きました。皆、驚いた表情をしていました。それもそうでしょう。普通、ランドセルは一人の子どものために、一生にいちど買う特別な品です。まとめて10個も購入する人などいません。

私は購入したランドセルを自宅で保管し、クリスマスに合わせて前橋市にある児童相談所に届けるつもりでした。この計画には、明確な意図がありました。東京の児童養護施設で子どもたちの数が増え続ける現状を目の当たりにし、何かアクションを起こさなければならないと考えてのことでした。単純な物資の支援を超えた、より大きな目的があったのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ、今月初めの米軍による攻撃で兵士47人死

ワールド

EU、重要インフラでの中国製機器の使用を禁止へ=F

ワールド

イラン抗議デモ、死者3000人超と人権団体 街中は

ワールド

韓国、米のAI半導体関税の影響は限定的 今後の展開
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手がベネズエラ投資に慎重な理由
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 6
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 9
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」…
  • 10
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中