最新記事

自己啓発

誰でも今すぐ「頭がよい人」になれる、「往復運動」の能力を鍛えれば

2020年2月19日(水)14時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

こうして見ると、「頭のよさ」の定義は多様であり、そのことが「頭がよい」とは何なのかを分かりにくくしていると言える。しかし、ひとつだけ確かなものさしがある。それは、インプット重視かアウトプット重視か、という判断基準だ。

先に挙げた例のうち、前半の「テストの点数が高い」「飲み込みが早い」「知識量が多い」などはインプット重視の「頭のよさ」であり、後半に行くほどアウトプット重視となる。

小中学校など教育の初期段階ではインプット力が重視され、成長するほどアウトプット力が求められるようになる。企画力やプレゼンテーション能力など、社会に出て必要とされるのはアウトプット力のほうだ。

この「インプット力/アウトプット力」を、本書では「抽象化能力/具体化能力」と言い換える。インプットによって情報を抽象化することで概念として理解し、アウトプットによって具体化することで情報を実用に換える、ということだ。

往復運動の「距離」「スピード」「回数」

その上でユニークなのは、「思考の正体とは抽象化と具体化を行き来する往復運動である」という谷川氏の主張である。頭をよくするために重要なのは、「往復運動」の能力を鍛えることだ。思考停止せず、具体化と抽象化を繰り返しながら考えるのがうまい人こそ、「頭がよい人」なのだ。

例えば、「イヌ」と聞いて、思い浮かべるイメージは人によって違う。もし「チワワ」や「柴犬」などの犬種を思い浮かべたとしたら、それは「イヌ」という情報を具体化したのである。「哺乳類」「動物」という言葉が出てきた場合は、「イヌ」の抽象度を上げたことになる。

「チワワ」から具体化をさらに進めれば「うちのポチ」という唯一無二の存在に行き着く。抽象化を進めた先にあるのは「生物」というより大きな概念だ。つまり、ひとつの情報に対して振り幅をもって捉えるのが具体化/抽象化である。

「頭のよさ」を決める具体化と抽象化の往復運動には、3つのパターンがある――往復運動の「距離」「スピード」「回数」だ。

「距離」とは、先ほどの「うちのポチ」や「生物」のように、「イヌ」という出発地点から、具体/抽象それぞれの方向にどれだけ遠く離れられるか、ということだ。目の前の事柄に対して大局的な意見を言える人や、壮大なテーマを身近な話題に落とし込める人は、確かに「頭がよい」。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米ウ協議の和平案、合意の基礎も ウ軍撤退なければ戦

ワールド

香港の大規模住宅火災、ほぼ鎮圧 依然多くの不明者

ビジネス

英財務相、増税巡る批判に反論 野党は福祉支出拡大を

ビジネス

中国の安踏体育と李寧、プーマ買収検討 合意困難か=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 8
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中