最新記事

時間管理術

ポモドーロ・テクニック:世界が実践する時間管理術はこうして生まれた

2019年3月22日(金)06時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

時間を区切って勉強する――「ただそれだけ?」と思われるかもしれない。

だが、限られた時間でタスクを終えた充実感と、時間内でやり遂げなくてはいけないという集中力の虜(とりこ)になったことが、シリロがその経験をポモドーロ・テクニックとして洗練させていくきっかけになった。

その後、勉強、後に仕事の能率を高めることに打ち込んだシリロは、「1ポモドーロ」の適切な長さ(今でこそ1ポモドーロの単位は25分だが、最初に試したのは2分だったという)と休憩時間、持続可能な回数などを研究し続け、人間にとって最大限の生産性と効率性を引き出せる時間が「25分+5分」であることを突き止める。

それが集中力や意識を向上し、モチベーションを高め、粘り強さにつながり、結果として生産性の向上になるとして世界中で支持を得ているのだ。

そのポモドーロ・テクニックだが、具体的な手順は以下の6つのステップから成る。


ステップ1:実行するタスクを決める。
ステップ2:タイマーを25分に設定。
ステップ3:タイマーが鳴るまでタスクを行う。
ステップ4:タイマーが鳴ったら作業を終了し、「今日やること」シートにチェックマークを付ける。
ステップ5:5分間の休憩を取る(その際、深呼吸したり、瞑想したり、コーヒーを飲むなど、仕事とはまったく関係のないことをして脳を休ませる)。
ステップ6:ポモドーロを4回した後に長い休憩(20〜30分)を取る(次のポモドーロで新しいタスクができるように完全に脳を休ませる)。

※シリロの公式サイトhttps://francescocirillo.com/pages/pomodoro-techniqueより

警戒すべき「内的中断」が発生する理由

25分という時間は、集中力に自信がある人にとっては短すぎるように思えるかもしれない。しかし、25分間たった1つのタスクに完全に没頭し続けるということが、いかに難しいことであるかはポモドーロ・テクニックを実際にやってみれば分かるだろう。

電話や来客など自分では制御できないことは「外的中断」と呼ぶが、それによりポモドーロは無効となる。1からやり直しだ。一方、メールをチェックしたくなったり、誰かに連絡する必要を急に思い出したり、他の人を気にしたりしてしまうのは「内的中断」で、これもポモドーロを無効にする。他の仕事と一緒にやるマルチタスクは言うまでもない。

特にシリロが警戒するのは、この内的中断である。内的中断が起こるのは、さほど重要ではないことをやっているときなどで、そもそもの目標設定が適切でないことに原因があるからだ。心に疑問や不安をもったままで物事を遂行しようとすれば、先延ばしをしようとしたり、他のことに目移りしたりするのも当然だという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米軍麻薬作戦、容疑者殺害に支持29%・反対51% 

ワールド

ロシアが無人機とミサイルでキーウ攻撃、8人死亡 エ

ビジネス

英財務相、26日に所得税率引き上げ示さず 財政見通

ビジネス

ユーロ圏、第3四半期GDP改定は速報と変わらず 9
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 5
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 6
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 7
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 10
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中